MENU

情熱は前進させるが、執着すれば自らを縛る


目次

■引用原文(日本語訳)

「激質は激情を本性とし、渇愛と執着とを生ずるものであると知れ。それは、行為との結合によって主体(個我)を束縛する。」
(第14章 第7節)


■逐語訳

激質(ラジャス)は、情熱と活動を本性としており、欲望と執着を生む性質である。それは、行為(カルマ)への結びつきによって、自己(アートマン/個我)を束縛する。


■用語解説

  • 激質(rajas):活動・情熱・欲望・競争・興奮を象徴する性質。動的で刺激的だが、落ち着きを欠く。
  • 激情(rāga):好悪・衝動・感情的な反応をともなう強い欲求。
  • 渇愛(tṛṣṇā):止まることのない欲望。満たされず、次を求め続ける心理状態。
  • 執着(saṅga):結果・報酬・他者評価へのこだわり。
  • 行為との結合(karma-saṅga):行為そのもの、またその成果に対する依存・執着。
  • 束縛(badhnāti):本来自由である魂が、活動とその結果に縛られ、動揺・疲弊していく状態。

■全体の現代語訳(まとめ)

激質(ラジャス)は情熱的でエネルギッシュな性質であり、私たちに行動を促すが、それは同時に「もっと欲しい」「評価されたい」といった強い欲望と執着を生み出す。その結果、人は行為そのものに縛られ、本来の自由を失ってしまう。


■解釈と現代的意義

この節は、現代人に最も身近な“激質的な生き方”の危うさを示しています。仕事、競争、成果主義、自己実現など、私たちは「動くこと」「得ること」に価値を置きすぎてしまいがちです。しかし、過剰な活動や成果への執着は、内面の静けさや自己の本質を覆い隠し、心を疲弊させてしまいます。情熱は必要だが、それが自分を縛るようになれば、本末転倒です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
行動と執着の違い「やる気があること」と「成果にしがみつくこと」は異なる。後者はストレスや摩擦を生みやすい。
過剰な情熱の落とし穴目標達成に熱心になりすぎると、他者の都合や持続可能性を無視してしまう危険がある。
成果主義の影響結果を出すことばかりに集中すると、倫理・人間関係・長期的視点が失われ、組織の本質が損なわれる。
健全な情熱管理情熱を持ちつつも、成果や反応に固執しない「熱中しながらも手放す姿勢」が、プロフェッショナリズムにつながる。

■心得まとめ

「情熱は行動の力、だが執着は心の鎖」
激質のエネルギーは前進を生み出すが、成果や欲望にとらわれすぎると、心は縛られてしまう。ビジネスにおいても、情熱を持ちつつ、それに支配されないバランス感覚が、長期的な成功と心の平安をもたらす。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次