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■原文(日本語訳)
「だがアルジュナよ、そのように多く知っても何になろう。私はこの全世界を、ほんの一部分で〔遍く〕支えて存在しているのだ。」
(第10章 第42節)
■逐語訳(一文ずつ)
- atha vā bahunaitena kiṁ jñātena tavārjuna
→ それはさておき、アルジュナよ、あなたがこれほど多くのことを知ったとしても、それが何になるというのか。 - viṣṭabhyāham idaṁ kṛtsnam ekāṁśena sthito jagat
→ 私はこの全世界を、ただ一部分(エーカ・アーンシャ)によって支えて存在しているのだ。
■用語解説
- bahunā etena kiṁ jñātena:これほど多くを知ることに、何の意味があるのか。
- ekāṁśena:「一部分」で、「私のほんの一部」という意味。
- viṣṭabhya:「支えて」「保持して」いること。
- sthitaḥ:留まり、存在している。
- jagat:この世界、宇宙。
■全体の現代語訳(まとめ)
「アルジュナよ、私の神的示現をいくら知ったとしても、それはほんの一部にすぎない。この全世界は、私のわずかな一部分によって支えられているのだから。」
■解釈と現代的意義
この節は、すべてを語り尽くすことの不可能性と、神の本質の無限性を示唆しています。
クリシュナはアルジュナに語ります。
「これまで語ってきた私の偉大さは、まだほんの一端にすぎない。
この全宇宙を支えるのに、私の全力すら要らない。私の“一部分”だけで十分なのだ」と。
つまり、「神の力(普遍的原理)は、我々の想像をはるかに超えており、いかなる言葉や現象も、その一片にすぎない」との教えです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | ビジネスへの応用例 |
---|---|
部分は全体を映す | 小さな成功や現象にも、背後にある“大いなる仕組み”があることを意識する。 |
知識の限界 | 数字やデータをいくら集めても「本質」には届かない。全体観や直観、信頼の力も尊重する姿勢を持つ。 |
コアの重要性 | 全体を支える「一部分」とは、核心や価値観のこと。企業やチームにおいても「何が支えているか」を常に確認する。 |
■心得まとめ
「全体を支える“核”を知れ」
どれほど多くの現象があろうとも、
どれほど多くの才能があろうとも、
それは全体の一端にすぎない。
真に世界を支えるものとは、
**静かで見えざる本質的な力(核)**である。
それを見失わずに、行動し、判断しよう。
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