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知って満足するな、行ってはじめて身につく
学びを聞くだけにせず、すぐに行動に移すのが本当の誠実さ 子路は、孔子門下の中でも特に行動力に富み、忠義に厚く、実直な人物として知られている。そんな子路は、孔子から何かを教わると、それをすぐに実行しようと努めた。そして、すでに教わったことが... -
高みに至るには、まず足元から――具体の実践が抽象を支える
日々の徳を学ばずして、天命は語れない 子貢は孔子の教えについてこう語った。「私は、先生から礼や音楽(礼楽)といった国家の制度や、人としてのふるまい・日常に表れる徳などの具体的な実践はよく教わってきました。しかし、『性(せい)』――つまり人間... -
理想を語るな、理想に近づけ
志は立派でも、実行できてこそ価値がある 弟子の子貢(しこう)は、「自分が他人からされて嫌なことは、他人にも決してしないように心がけています」と孔子に語った。この言葉は、いわゆる“己の欲せざる所は人に施すなかれ”の精神そのもの。ところが、孔子... -
本当に強い人とは、我を捨てて信念を貫ける人
剛とは、意志を貫く力。しかしそれは、私欲から自由であってこそ 孔子はあるとき、「私はまだ、本当の意味での“剛者”を見たことがない」と語った。するとある人が、「申棖(しんとう)は剛者ではありませんか」と問いかけた。しかし孔子は、「いや、申棖に... -
言葉ではなく、行いにその人の本質があらわれる
美辞麗句よりも、日々の態度を見よ 孔子の弟子・宰予(さいよ)は、立派なことを言う一方で、私生活では怠惰で、日中から寝てばかりいた。この姿を見た孔子は深く失望し、「朽ちた木に彫刻はできない」「糞土の壁に塗装しても無意味だ」と、厳しい言葉で見... -
自分を低く見るのではなく、正しく見て高みを目指す
謙虚に学び、正直に語り、それでも志を捨てない 孔子は、弟子の子貢に「お前と顔回とではどちらが優れているか」と問いかけた。すると子貢は、「とても顔回には及びません。彼は一を聞いて十を知るほどの人物ですが、私はせいぜい二を知る程度です」と答え... -
有能であることと、徳があることは別物である
実務能力は評価される。しかし、仁者とはもっと深いものだ 魯の大夫・孟武伯が、孔子に弟子たちの「仁者としての資質」についてたずねた。子路(由)については、「千乗(せんじょう)の国」での政治や軍事運営をまかせるだけの力があると認めつつも、「仁... -
勇気に火をつけるなら、まず薪を用意せよ
勇ましさだけでは足りない。思慮があってこそ、真の行動力となる 孔子は、世の中に正しい道(=仁や礼)が行われない現実に、ふと冗談めかしてこう言った。「もう、いかだに乗って海を渡って外国に行ってしまおうか」と。その言葉にすぐさま子路(しろ)が... -
実力が伴うまで、焦らずに備えよ
学びを確かにしてからこそ、世に出る価値がある 孔子は弟子・漆雕開(しつちょうかい)に仕官(公の職に就くこと)を勧めた。しかし漆雕開は、「まだ自分にはその任にふさわしいだけの確信がない」と辞退した。この返答を聞いた孔子は、たいそう喜んだとい... -
言葉の巧みさより、誠実と中身を重んじよ
話がうまくなくても、人間として優れている人はいる ある人物が、孔子の弟子・雍(冉仲弓)について「仁者(じんしゃ)にふさわしい人格だが、弁は立たない」と評価した。それに対し孔子は、「弁が立つかどうかにこだわる必要はない」と応じた。むしろ、口...