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見た目も中身も、どちらも揃ってはじめて真の教養人
孔子は、人格のバランスについて非常に的確な言葉でこう語った。 「人の実質が外見よりも勝ちすぎると、洗練を欠いた田舎者のようになってしまう。逆に、見かけの飾りが中身に勝ちすぎると、ただの文書係のように軽薄に見えてしまう。だが、外見と中身の両... -
出口がわかっているなら、そこを通って出るのが道理だ
孔子はある日、人生の選択と「道(みち)」について、シンプルかつ鋭い比喩で弟子たちに語った。 「誰だって部屋から出るときには、戸口(出入り口)から出るものだろう。なのに、どうして人生という部屋を出ていくときに、私たちが説く“道”を通ろうとしな... -
見た目や口先だけでは、世の中を渡りきれない
孔子は、世の中で生きていくために本当に必要なものは何か、という問いに対し、こう語った。 「衛の祝鮀(しゅくたく)のように弁が立つわけでもなく、宋の朝(ちょう)のように顔立ちが美しいだけの者が、この時代をうまく生き抜くことは難しい」 この言... -
真に偉い人は、自らの功績を誇らない
孔子は、魯の将軍・孟之反(もうしはん)の謙遜な姿勢について、深く賞賛してこう語った。 「孟之反は、自らの手柄を誇らない立派な人物だ。戦で味方が敗走するとき、殿(しんがり=最後尾)を務めて、仲間を逃がすという極めて危険な役目を引き受け、見事... -
人を用いるには、まずその人を見る目を養え
孔子の弟子・子游(しゆう)が、魯の武城(ぶじょう)の長官に就任したとき、孔子はこう尋ねた。 「よい部下は得られたか?」 子游は即座に答えた。 「澹台滅明(たんだいめつめい)という人物がおります。彼は常に大道を通って歩き、近道(抜け道)を使う... -
学びの目的は、世の中を良くするためにある
孔子はある日、弟子の子夏(しか)に対してこう語った。 「お前は、世の中のために尽くす志を持った君子の学者になりなさい。決して、自分の名声や立身出世だけを望むような、小人の学者になってはならないぞ。」 この教えは、学問や知識の「目的」を問い... -
「できない」のではなく、「やめている」――限界を決めているのは自分自身
孔子の弟子・冉求(ぜんきゅう)は、あるときこう言った。 「私は先生の教えに感動し、それを喜んで学んでおります。ですが、自分には力が足りず、ついていけません」 それを聞いた孔子は、明確な言葉で返した。 「もし本当に力がないのであれば、やがて道... -
貧しくとも学びを喜び、志を曲げない――それが本当の賢さ
孔子は弟子・顔回(がんかい)について、何度も深い敬意をもって語っているが、ここでもその人柄を賞賛してこう述べた。 「顔回は本当に立派な人間だ。一簞(いちたん)の粗末な食事、一瓢(いっぴょう)の水で暮らし、狭くて汚い路地裏の家に住んでいる。... -
運命に逆らえなくとも、惜しむ心が人の情
孔子の弟子・伯牛(はくぎゅう/冉伯牛)が重い病にかかったとき、孔子はその見舞いに訪れた。 窓の外から手を差し入れ、伯牛の手をしっかりと握りしめて、孔子は悲痛な言葉を繰り返した。 「こんなに立派な人が、こんな病にかかるなんて……これが天命とい... -
断るべきときには、はっきりと断る――覚悟が人を動かす
魯の有力貴族である季氏(きし)は、孔子の弟子・閔子騫(びんしけん)を領地・費(ひ)の長官に任命しようと考え、使者を送った。 ところが、閔子騫はこの申し出に対し毅然とこう言い放った。 「私のために、どうかうまくお断りください。もし、またこの...