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世間の目より、自らの良心と天に恥じぬ行いを
孔子が、当時「品行がよくない」と評判のあった衛国の夫人・南子(なんし)と会見したときのこと。このことを聞いた弟子の子路(しろ)は、孔子の行動を強く心配し、不快にすら思った。 しかし、孔子はこう誓った。 「もし私の行いが不正であれば、天がそ... -
学びを広く、実践を丁寧に――それが人生を正しく導く
孔子は、「君子の正しい成長のしかた」について、次のように語った。 「君子は、幅広く書物を学び、他者や先人の知恵を吸収する。そしてその学びを、日々の行動において“礼”をもって実践すれば、道を踏み外すことなく、正しい人生を歩むことができる」 こ... -
善意も、冷静な判断と共にあってこそ本物である
あるとき、弟子の宰我(さいが)が孔子にたずねた。 「仁者(じんしゃ)、すなわち最高の人格者であれば、たとえ誰かに『井戸に人が落ちています!』と告げられたとき、たとえそれが偽りであっても、真っ先に井戸に飛び込んで人を助けようとするのではない... -
形だけではなく、本質を保つ――本来あるべき姿を失うなかれ
孔子は、当時の酒器「觚(こ)」を例にとりながら、“本質を見失うこと”への警鐘を次のように述べた。 「觚という器は本来、角があるからこそ觚と呼ばれる。その角が取れてしまったものを、それでも“觚だ”と呼ぶのか?それはもはや觚ではない。」 これは単... -
国も人も、少しの変化で理想に近づける
孔子は、当時の二つの国の状態を引き合いに出して、**「変化」と「理想」についての希望」を語った。 「斉(せい)の国が少しでも改善されれば、魯(ろ)の国くらいにはなれるであろう。そして、魯の国がもうひとつ変化すれば、“道(みち)”の通った理想の... -
水のような知者、山のような仁者――どちらも人間の理想
孔子は、「知者」と「仁者」の違いを、自然界の美しい比喩を用いて語った。 「知者は水を好み、仁者は山を好む。知者は水のように柔軟でよく動き、人生を楽しむことができる。仁者は山のようにどっしりと落ち着き、長寿を保つことができる。」 この言葉は... -
正しいことを行い、見えないものに頼りすぎない。そして、損得よりも「先に難」を
孔子の門人・樊遅(はんち)が、「知」と「仁」について孔子に問うたとき、孔子は次のように答えた。 「“知”とは、人としてなすべき道をしっかりと行い、神や霊といった目に見えない存在を敬う一方で、そこに頼りすぎないこと。」 また、「仁とは何か」と... -
土台なき上達はありえない――学びは基礎から
孔子は、学びの順序について明快に語っている。 「中くらい以上の実力を備えている者には、より高い内容、上級のことを教えてよい。しかし、まだ中くらいに達していない者には、そうした上級の話をすべきではない。まずはしっかりと基本を教えるべきだ。」... -
知っているより、好きであること。好きより、楽しんでいること。
孔子は、学びや仕事への向き合い方について、次のように語った。 「あることを“知っている”者は、それを“好きな”者には及ばない。そして、それを“好きな”者は、それを“楽しんでいる”者には及ばない。」 これは、知識や技術の深まりには、感情の関わりが極... -
素直であること、それが人として生きる土台である
孔子は、人が人として生きていくうえで何よりも大切なものについて、こう語った。 「人が生きていけるのは、“直(なお)さ”、つまり素直さ・誠実さを持っているからだ。これを欠いたまま生きているように見える人は、たまたま運よく災いを免れているだけに...