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成長し続ける姿こそ、人の尊さを物語る
孔子は、最も信頼し愛した弟子・**顔淵(がんえん/顔回)**について、深い惜別の思いとともにこう語った。 「本当に惜しい人を亡くした。私は彼が常に成長している姿を見ていたが、立ち止まっているところは一度も見たことがなかったのだ」 この一言は、... -
学びとは、聞く情熱があってこそ深まる
孔子がその弟子たちの中で、特に高く評価していた人物の一人に、**顔回(がんかい)**がいる。彼について、孔子はこう語っている。 「こちらが話し、教え続ける中で、少しも飽きることなく、聞き続けようとする者は……それはやはり顔回くらいのものだろうな... -
あと一歩をやめるのも、自ら進むのも、すべては自分の意志次第
孔子は人生の在り方について、こんな比喩を用いて語った。 「たとえば山を築くとしよう。あと一簣(き:土を一杯入れたかご)で完成というところまできても、自分が手を止めれば、結局それは未完成で終わる。また、土地をならす作業でも、たとえたった一簣... -
人は見た目に惹かれる。でも“徳”にもそれだけ惹かれていいはずだ
孔子は、ふとした場面で人間の本質的な傾向について語った。 「私はまだ見たことがない。美しい人(=色)を好むように、徳を深く好む人を」 人は誰しも、美しさや魅力的な外見、つまり「色(しょく)」に自然と惹かれる。それは視覚的に強く訴えかけるも... -
時は止まらない。だからこそ、前を向いて生きていく
ある日、孔子が川のほとりに立ち、水の流れをじっと見つめながら、静かにこうつぶやいた。 「逝く者は斯(こ)の如(ごと)きかな——まるでこの川の流れのように、昼も夜も、ひとときも止まることなく、すべては流れ去っていくのだ」 この「逝く者」とは、... -
特別なことはしていない。ただ、やるべきことをきちんとしている
あるとき孔子は、自分自身のことをこう語った。 「外に出れば上役によく仕え、家では父や兄にきちんと従い、喪に臨んでは精いっぱいのことをし、酒席にあっても酒に呑まれて乱れることはない。まあ、私という人間は、それくらいのものだよ」 一見すると、... -
本来あるべき姿に戻す。それが真の“正しさ”である
孔子は衛の国から故郷・魯の国に戻った際、政治や文化の乱れの中で、まず取り組んだのが**「礼楽(れいがく)」の再建**だった。 当時、魯では儀礼に用いる音楽や舞が混乱し、格式や内容が本来の形から逸脱していた。これに対し孔子は、根気強く是正に取り... -
君子が住めば、どこでも善き地となる
あるとき、孔子が「東方の九夷(きゅうい)——いわゆる文化的に遅れているとされた辺境の地に住んでみたい」と語った。それを聞いた誰かが、驚いてこう問いかけた。 「あんな野蛮で下品な場所に、どうして住もうとなさるのですか?」 すると孔子は、揺るぎ... -
自分を磨き、良き出会いに備える
あるとき、弟子の子貢(しこう)が孔子にたとえ話を持ちかけた。 「ここに美しい宝玉があったとしたら、それを箱にしまっておくべきでしょうか?それとも、よい商人が現れるのを待って、それを売るべきでしょうか?」 孔子は、それに対してこう即答した: ... -
偽りの格式より、親しい者に看取られることを望む
孔子が重い病にかかったとき、弟子の子路(しろ)は先生の死を立派に演出しようと配慮し、門人たちを「大夫(たいふ/高位の官職)の家臣」に見立て、形式的に整えようとした。 しかし、病が少し回復した孔子は、その意図に対して穏やかに、しかしはっきり...