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弟子たちの姿に喜び、未来に案じる
それぞれの個性を見守りながら、師は静かに思う ある日、孔子のもとに4人の弟子が侍していた。閔子騫(びんしけん)は落ち着いて礼儀正しく、子路(しろ)はいかにも活発で勇ましく、冉有(ぜんゆう)と子貢(しこう)は誠実さと喜びに満ちた表情で師のそ... -
まず生を学びて、死を語るなかれ
生を知らずして、どうして死や神を論じられようか 孔子の弟子・季路(きろ)が、あるとき先生に尋ねた。「神や霊にうまく仕えるには、どうすればよいのでしょうか?」 孔子は即座にこう返す。「まだ人間にどう仕えるべきかすら十分に学べていないのに、神... -
葬儀に大切なのは、形式よりまごころ
親子のように想い合った関係には、飾らぬ愛を込めたい 顔淵(がんえん)が亡くなったとき、孔子の門人たちは、彼のために立派な葬儀を出したいと申し出た。しかし、孔子はそれを制して「いけない」と告げた。 それにもかかわらず、門人たちは形式を重んじ... -
慟哭は、真に愛した者のために
感情を抑える孔子が、抑えきれなかった悲しみ 孔子の最愛の弟子、顔淵(がんえん)が亡くなった。その葬儀で、孔子はあまりの悲しみに、抑えていた涙が堰を切ったようにあふれ、身を震わせて慟哭された。 それを見ていた門人たちは驚き、思わず声を上げた... -
天に見放されたと思うほどの悲しみ
最愛の弟子を失い、孔子が天に嘆いたとき 顔淵(がんえん)が亡くなった――その知らせを受けた孔子は、あまりの悲しみに耐えられず、天を仰いでこう叫んだ。 「嗚呼(ああ)、天は私を見捨てたのか。天は私を滅ぼそうとしているのか」 弟子は多くいたが、そ... -
儀礼よりも、心から尽くすこと
立派に見せることより、誠を尽くすことが大切だ 孔子の最愛の弟子・顔淵(がんえん)が若くして世を去ったとき、父の顔路(がんろ)は孔子に願い出た。「先生の車を譲っていただけませんか。それを売って、息子のために立派な外棺を買いたいのです」 孔子... -
学を愛した者、早逝にして今はなし
真に学を好む者――その名は顔回 魯の大夫・季康子(きこうし)が孔子にたずねた。「あなたの弟子の中で、誰が最も学問を好みましたか?」 孔子は、やや寂しげにこう答えた。「顔回(がんかい)という者がいて、学を心から愛しておりました。ですが、残念な... -
言葉を慎む者は、信頼に値する
一度出た言葉は戻せない、だからこそ沈黙に徳が宿る 孔子の弟子・南容(なんよう)は、いつも詩経の一節――「白圭(はくけい)」の詩を口ずさんでいた。そこにはこう詠われている。「玉なら欠けても磨き直せるが、人の言葉は一度口にすれば、取り返しがつか... -
家族への敬いは、沈黙にあらわれる
身内を語らず、身内を貶さず――それが真の孝行 孔子は、弟子の閔子騫(びんしけん)についてこう称えた。「なんと孝行な者だろう。彼の父母や兄弟を悪く言う者は誰もいない――なぜなら、彼自身が決して身内の悪口を言わないからだ」 人はつい、家族のことで... -
理解が速すぎて、問いがいらない弟子
説明不要の理解力、それもまた師の喜び 孔子は、愛弟子・顔回(がんかい)のことを語るとき、誇らしさと少しの寂しさをにじませた。「顔回は私の学問研究を助けるようなタイプではない。なぜなら、私の話すことをすべて即座に理解してしまうからだ」 教師...