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国を支えるのは、信義と道徳である
主旨の要約 孔子は、政治において重要なのは「経済」「軍事」「信義(民の信頼・道徳)」の三本柱だと述べつつ、最終的に残すべきは「信義」であると説いた。飢えも戦乱も人を苦しめるが、信頼と道徳のない社会では、人は生きるに値しないとした。 解説 こ... -
静かに浸み込む悪意にも動じない者こそ、真の聡明である
主旨の要約 孔子は、表立った攻撃だけでなく、じわじわと心を侵す中傷や、身に迫る訴えに惑わされずにいられる者こそ「明(聡明)」であると語る。さらに、それができる者には「遠(えん)」、すなわち深い洞察力・先見性が備わっていると賞賛する。 解説 ... -
運命を嘆かず、礼をもって人に接すれば、すべての人が兄弟となる
主旨の要約 司馬牛が兄弟と良い関係を築けないことを嘆いたとき、子夏は「生死や富貴は運命であり、自分を慎み、礼をもって人と接することで、四海の人々はみな兄弟となる」と答えた。君子にとって大切なのは、血縁ではなく、人との関わり方そのものである... -
己に恥じることがなければ、憂いも恐れもない
主旨の要約 孔子は、真の君子とは「心にやましさがない人」だと説く。だからこそ、憂うことも恐れることもない。君子の落ち着きや強さは、外から来るものではなく、内省と誠実な行いによって築かれるのである。 解説 司馬牛が「君子とは何か」と問うと、孔... -
仁の人は、行いが先。言葉は慎み、重みをもって語る
主旨の要約 孔子は、仁ある人は言葉に慎みがあると語る。それは、まず行動で示すことを重んじ、実践を経てからでなければ言葉にしないという心構えによるもの。軽々しく語らず、誠実さと慎重さを大切にするのが、仁の本質である。 解説 弟子・司馬牛が仁に... -
仁とは、相手を敬い、自分の望まぬことを他人にしない思いやり
主旨の要約 孔子は、仁の実践とは「人に対して敬意と思いやりを持って接すること」であり、他人にされて嫌なことは自分もしない、という慎みの心だと説く。この態度があれば、社会に出ても家庭の中でも人から恨まれることはない。 解説 弟子・仲弓が仁につ... -
仁とは、自分に克ち、礼に立ち返ること
主旨の要約 孔子は「仁(じん)」を尋ねた弟子・顔淵に対し、仁とは「克己復礼」——自分の私欲に打ち克ち、礼の精神に立ち返ることだと答えた。もし一日でもこの実践ができれば、天下に仁の影響が広まる。それは自分の内面次第であり、他人がどうこう言うも... -
志は人それぞれ、師はそれを温かく見守る
夢のかたちが違っても、それぞれが大切な志 ある日、孔子の弟子である子路(しろ)、冉有(ぜんゆう)、公西華(こうせいか)、曾晳(そうせき)の四人が孔子の側に座していた。 孔子は言った。 「私が君たちより少し年長だからといって遠慮することはない... -
言葉巧みに正当化するな――真の学びは軽くない
現実を盾に、未熟を任せてはならない 孔子の高弟・子路(しろ)は、季氏(きし)の執事を務めていたとき、後輩である子羔(しこう)を、費(ひ)の町の代官に推薦しようとした。 それを聞いた孔子は、すぐに反対した。 「そんなことをすれば、まだ学びの途... -
忠臣を使いこなせぬ者に、彼らの価値はわからない
見識のない者が賢臣を持ち上げることほど、聞いていてつらいことはない 魯国の大夫、季子然(きしぜん)は、孔子にこうたずねた。 「最近、自分が召し抱えた仲由(子路)と冉求(ぜんきゅう)は、大臣にふさわしい人物でしょうか?」 この問いを聞いた孔子...