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志ある者に、機会を与えよ
――任されれば応える、覚悟と自負の言葉 孔子は、理想の政治を実現できるという確かな自負と意欲を持っていた。「もし私に政治を任せてくれる者がいれば――」一年(期月)あればすでに変化をもたらし、三年あれば成果を形にしてみせる、と語る。 これは単な... -
数より質へ、豊かさより徳へ
――民を育む真の政治とは 孔子が衛(えい)の国を訪れたとき、弟子の冉有(ぜんゆう)が馬車を御して供をした。町の様子を見た孔子は、「人が多いな」と感想を漏らす。冉有が「はい、人口は多いようですが、さらに何をすべきでしょうか」と尋ねると、孔子は... -
「ちょうどよい」と思える心が、人生を豊かにする
――満足を知る者こそ、真の豊かさを得る 孔子は、衛(えい)の公子荊(こうしけい)を評して、「善く家に居る者」――つまり、自分の暮らしを上手に整え、満ち足りて生きる人物だと賞賛した。 家を持ったばかりで財産が乏しい頃、公子荊は「まあまあ形にはな... -
血を分けた国、似た者同士の政治の行方
――出自を同じくする者は、歩みも似通う 孔子は、魯(ろ)と衛(えい)という二つの国を「兄弟のような国」と呼んだ。魯の始祖は周公旦(しゅうこうたん)、衛の始祖はその弟・康叔(こうしゅく)。ともに周王朝の名族に連なる兄弟であり、両国は共に礼を重... -
行動こそが、最も雄弁な命令である
――リーダーの徳が、人を動かす 孔子は、リーダーシップの根本は「自らの在り方」にあると説いた。為政者が身を正しく保てば、言葉を尽くさずとも人は自然と従う。逆に、自分自身の行いが正しくなければ、いくら命令を重ねても人はついてこない。 徳のない... -
学びは実践してこそ意味がある
――知識だけでは、社会は動かせない 孔子は、知識の量よりも「活かせる力」を重んじた。どれほど詩経を暗唱できたとしても――つまり教養があっても、それを政治や外交の場で活かせなければ、現実社会では何の役にも立たないという。 教養は飾りではなく、行... -
すべてを自分でやるな、信と礼が人を動かす
――組織は分担と信頼で成り立つ 弟子の樊遅(はんち)が、「穀物づくりの方法を教えてください」とたずねると、孔子は「私は老農(ろうのう)にかなわない」と答えた。さらに野菜づくりについて尋ねると、「それは専門の農夫に聞くべきだ」と述べた。 樊遅... -
言葉が乱れれば、すべてが乱れる
――“名”を正すことは、秩序の第一歩 子路が「もし先生が政治を任されたら、まず何から始めますか」と問うたとき、孔子は即座に「まず名(めい)を正す」と答えた。すなわち、言葉と実態が一致していない状態――名分の乱れ――を正すことが、すべてのはじまりだ... -
人を活かせば、人が集まる
――登用の眼と信頼の連鎖 孔子は、組織の要は「人」にあると説いた。仲弓が政治の方法をたずねると、先生は「まず役人を整えよ、小さな過ちは赦し、有能な人物を見出して登用せよ」と教えた。 さらに「どうすれば賢才を見つけられるのか」と問われると、孔... -
信頼される政治には、率先と継続の力が要る
孔子は、政治の本質は民を思う誠意と、自ら模範を示す行動にあると説いた。子路が「政治とは何か」と問うと、先生は「民に先んじて自分がやるべきことをやり、民を労(いた)わることだ」と答えた。さらに子路が「それだけですか」と重ねて尋ねると、「今...