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評価される人、語られない人――沈黙が語ることもある
――人の価値は、言葉より深く、沈黙にもにじむ ある人が孔子に、歴史上の三人の人物について順に問いかけた。 ① 子産(しさん)について 「恵人(けいじん)なり。」→「仁愛に満ち、民を思いやる人物である」と孔子は即答し、高く評価した。 ② 子西(しせい... -
優れた成果は、一人ではなく“チームの力”から生まれる
――役割を分けて、力を合わせる知恵が文化を育てる 孔子は、鄭(てい)の国における外交文書作成のプロセスを取り上げて、組織的な協働の重要さについて語った。 「命(外交文書)を作るにあたって、卑諶(ひしん)は草案を作り、世叔(せいしゅく)は討議... -
本当に愛するなら、あえて苦労させよ
――愛とは甘やかすことではなく、育てること 孔子は、真の愛情と忠誠心について、簡潔に、しかし力強くこう述べた。 「その人を愛するなら、どうして苦労を与えずにいられようか。その人を思いやるなら、どうして教え導かずにいられようか。」 この言葉の本... -
仁は、志をもってこそ近づける
――“小人”はそもそも仁に向かおうとしない 孔子は、「仁(じん)」という徳の到達について、次のように明快に語った。 「君子(くんし)にして不仁なる者は、あるかもしれない。しかし、小人(しょうじん)であって仁なる者は、未だかつて存在しない。」 こ... -
ことさらに語らずとも、徳のある者には伝わる
――真に徳を重んじる者には、沈黙が最大の肯定となる 南宮适(なんきゅうてき)が孔子に問いかけた。 「羿(げい)は弓の名手、またある者は舟を自在に操るほどの力持ちであったが、どちらも非業の死を遂げた。一方で、禹(う)と稷(しょく)は、地道に農... -
言葉は徳のあらわれであって、徳そのものではない
――見た目や言動に惑わされず、中身を見よ 孔子は、**言葉・勇気・徳(とく)・仁(じん)**の関係について、次のように説いた。 「徳のある者は、必ず良い言葉をもっている。しかし、良い言葉をもっている者が、必ずしも徳があるとは限らない。仁のある者... -
正義の世では堂々と、乱れた世では賢く控える
――無駄死にせず、時に応じて身を処すのが真の賢者 孔子は、政治の状況に応じた言動の在り方についてこう語った。 「国に道(みち)=正義や秩序があるならば、恐れずに言うべきことを言い、行うべきことを行え。しかし、国に道がないならば、行うべきこと... -
志ある者は、安逸を求めない
――士たる者、楽を望まず、義を行うべし 孔子は、「士(し)」――すなわち志をもって世に仕える人物のあり方について、こう語った。 「士にして居(きょ)を懐(おも)えば、以て士と為すに足らず。」 つまり、「士」を名乗る者が、安楽な暮らしや居心地の良... -
欲を抑えるだけでは、仁には届かない
――仁とは、克己に加えて、積極的な学びと愛に満ちてこそ 孔子の弟子・原憲(げんけん)は、こう問いかけた。 「他人に勝とうとせず(克)、功績を誇らず(伐)、人を恨まず(怨)、欲を抱かず(欲)――これらのことをしない人は、仁の人と言えるでしょうか... -
世が正しくなければ、正しく食ってはならぬ
――身を置く場の正義に、自らの行動も問われる 孔子の弟子で清廉な人物として知られる**原憲(げんけん)**が、「恥とは何か」と尋ねたとき、孔子はこう答えた。 「邦(くに)に道(みち)有らば、榖(こく)す。邦に道無くして榖するは、恥なり。」 つまり...