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向上の道にある者は、常に「足りぬ」と思う
――「できていない」と言える人ほど、真にできるようになる 孔子はあるとき、自らの理想と実際の間にあるギャップについて、深い自己反省を込めてこう語りました。 「君子の道には三つあるが、私はまだそれらを実現できていない。一つ、仁者(じんしゃ)は... -
言葉が行いを越えるとき、それは恥である
――語るよりも、まず為すこと。慎ましさこそ君子の徳 孔子は、「言行一致」の大切さを説きつつ、言葉が先走ることの危うさについてこう語ります。 「君子(くんし)は、其(そ)の言(ことば)の其の行(おこな)いに過(す)ぐるを恥(は)ず。」 つまり、... -
君子は「立場」をわきまえる
――職分を超えて出しゃばらず、今の任を尽くす 孔子の高弟であり、礼と節度を重んじた**曾子(そうし)**がこう述べています。 「君子(くんし)は、思(おも)うこと、其(そ)の位(くらい)より出(い)でず。」 これは、「君子たる者は、自分の任を越え... -
立場をわきまえる者こそ、信頼される
――責任なき言葉は、正義ではなく混乱を招く 孔子は、**組織や政治における「責任と発言の関係」**について、きっぱりとこう述べました。 「其(そ)の位(くらい)に在(あ)らざれば、其の政(まつりごと)を謀(はか)らず。」 これは、「自分がその職責... -
使者とは、主の顔であり、己の力を問われる役職である
――伝えるだけでなく、“人格”を帯びた使命を果たす者こそ本物の使者 衛(えい)の国の大夫である**蘧伯玉(くはくぎょく)**が、孔子のもとへ使者を遣わしました。用件が済んだ後、孔子はその使者を座らせて、丁寧に問いかけました。 「蘧伯玉殿は、最近は... -
学びの本質は「内に向かう心」
――人に見せるためでなく、自分を磨くために学べ 孔子は、学びの目的が時代によって変質してしまっていることを憂い、こう語ります。 「古(いにしえ)の学者(がくしゃ)は己(おのれ)の為にす。今(いま)の学者は人(ひと)の為にす。」 つまり、昔の学... -
志ある者は向上し、利を追う者は堕落する
――成長の道を歩むには、目先でなく“上”を目指せ 孔子は、人格と志の違いによって、人の成長と退歩が決まると語りました。 「君子(くんし)は上達(じょうたつ)し、小人(しょうじん)は下達(かたつ)す。」 ここでの「上達」とは、道徳・知識・行動すべ... -
誠実に仕えることが、まっすぐな進言を可能にする
――本当に諫めるとは、誠の上に成り立つ“勇”である 弟子の**子路(しろ)**が、孔子に「君主に仕える心構え」について尋ねたところ、孔子は極めて簡潔に、しかし深くこう答えました。 「欺くことなかれ。そして、之を犯せ。」 つまり―― まず誠実であれ。主... -
正道を貫くこと、それが臣としての責務である
――たとえ通じずとも、義を語るべき時は語らなければならない 斉(せい)の国で、家臣であった**陳恒(ちんこう/田恒、のちの陳成子)が君主の簡公(かんこう)**を殺すという大逆が起きました。 この知らせを聞いた孔子は、斎戒沐浴して身を清め、礼を尽... -
大言壮語に恥じぬ者は、実行とは無縁である
――語るより、為す。誠実な人は慎ましく語る 孔子は、言動の一致と人の誠実さについて、次のように警句を放ちました。 「そのことを口にしながら恥じる様子もないならば、その言葉を実際に行動に移すことは難しいだろう。」 ここで言う「怍(は)じる」とは...