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できるかどうかではなく、「やるべきかどうか」で動く
――理想が遠くても、信じた道を歩み続ける覚悟 ある夜、弟子の**子路(しろ)は帰国が遅れ、魯の都城外にある石門(せきもん)で一夜を明かしました。翌朝、門を通る際に門番(しんもん)**が尋ねます。 「どこから来たのですか?」 子路はまっすぐに答えま... -
賢者は、時を見て退く
――正義を貫くだけでなく、身を守る“知恵”もまた徳である 孔子は、「賢者の危機回避の術」について、以下のように語っています。 「賢者(けんじゃ)は、世(よ)を避(さ)く。その次には、地(ち)を避く。その次には、色(いろ)を避く。その次には、言... -
悪意に動じず、ただ“道”を信じて歩む
――誹謗や妨害に惑わされず、すべてを運命にゆだねる心の器 孔子とその高弟たちは、魯の国で名分を正し、乱れた政治を正そうと尽力していました。その中で、弟子の**子路(しろ)**が権力者・季孫子のもとで実務を担っていた際、**公伯寮(こうはくりょう)... -
運命を責めず、人を責めず、自らを磨き続ける
――評価されずとも腐らず、黙々と進む者の徳 ある日、孔子は弟子たちに向かって、少し寂しげにこう述べました。 「我(われ)を知るもの、莫(な)きかな。(私の本当の価値を理解してくれる者はいないようだ)」 これを聞いた弟子の**子貢(しこう)**が驚... -
恩には恩を、怨(うら)みには正しさをもって返す
――無私の公正さこそ、怨みに対する君子の姿勢 ある人が孔子にこう尋ねました。 「怨みに対して“徳(とく)”をもって返すのは、どう思われますか?」 この問いは、相手の悪意や害に対しても、善意で応じるべきかという、高い倫理的ジレンマを含んでいます。... -
生まれつきより、鍛え上げた徳をこそ評価せよ
――人も馬も、育て方と努力で真価が決まる 孔子は、人や物を評価する基準について、次のように語りました。 「驥(き)は其(そ)の力を称(たた)えず。其の徳を称するなり。」 ここで言う「驥(き)」とは、名馬(めいば)・良馬のことです。孔子は、「生... -
世に仕えようとするのは、自己主張のためではない
――正しさへの執着より、柔軟さと学びの姿勢を尊ぶ あるとき、隠者の**微生畝(びせいぼ)**が、年下の孔子に対してこんな皮肉を言いました。 「丘(きゅう=孔子)よ、何をそんなにあくせく動きまわっているのだ。 そんなに世に出てうまく取り入ろうとし... -
疑わずに信じ、見抜く力を持つ者こそ真の賢者
――心を開きながら、相手の真偽を見抜けるバランス感覚が“賢”の証 孔子は、人間関係における「信頼」と「見抜く力」の両立について、次のように語ります。 「人にだまされるのではと先に疑ってかかることなく、人に信用されていないのではと勝手に思い悩む... -
評価を求めず、実力を磨け
――他人の目より、自分の未熟さを見よ 孔子は、人の評価や承認にとらわれる心に対し、きっぱりと次のように語りました。 「人(ひと)の己(おのれ)を知らざるを患(うれ)えず。己の能(よ)くするなきを患う。」 この言葉は、他人に認めてもらえないこと... -
批評より修養を――君子は評価より実践に努める
――他人を論じる前に、自分を高め、共に学ぶことが先 孔子の高弟で弁舌に優れた**子貢(しこう/名は賜)**は、人物を比較して評価することに長けていました。あるとき、子貢が誰かの人物評をしていたのを聞き、孔子はやわらかく、しかし深くこう語りました...