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人材をうまく機能させれば天下は治まる
「良い組織」とは、リーダーが何もかもを直接指示して動かすのではない。真の統治とは、適材適所に人を配し、それぞれが力を発揮することで自然と成り立つもの。 孔子は、古代の理想的な帝王・舜(しゅん)を引き合いに出してこう語った。「舜は自ら何かを... -
相手の状態に適切な愛ある励ましをしたい
人を導くとき、必要なのは“叱責”だけではない。孔子は、感情を露わにした子路に対し、厳しく戒めるばかりではなく、そっと励ますような言葉をかけた。 「由(子路)よ。徳の本質を理解し、それを実際に身につけている者は少ないなあ」と語った孔子の言葉は... -
本質を貫く
知識は積み重ねるだけでは道にならない。孔子は、自分を「博学な人」と考える弟子の子貢に対し、はっきりと否定してみせた。「私は、多くを知っているのではない。ただ、一つの道理をもって、すべてを貫いているだけだ」と。 学びの核心は、雑多な知識では... -
困っても取り乱すな。必ず道は開ける
どれほど追い詰められても、心の持ちようひとつで道は開ける。孔子は、自らが兵法に通じていないことを正直に述べ、戦を重んじる君主に見切りをつけて国を去った。その後、陳の国で一行が食糧を絶たれるという極限状態に置かれても、孔子は動じなかった。 ... -
人は、急いで大人になろうとせず、礼から学ばねばならない
――表面の振る舞いより、根っこの礼を教えたい ある日、闕党(けったん)という村の少年が、孔子の家で来客の取次役をしていました。それを見た人が不思議に思って、こう尋ねます。 「あの少年は、よほどしっかりしていて有能なのですか?」 孔子はそれに答... -
時には厳しく叱ることも“仁”のかたち
――長き沈黙を破るに足る苦言は、相手を想う心から生まれる ある日、孔子が訪れた先で、昔なじみの原壌(げんじょう)が礼を欠いた態度で出迎えます。彼はあぐら(=夷)をかいたまま立てひざで孔子を待っていたのです。 その不敬な態度に対し、孔子は激し... -
自分を磨くことが、世を照らす第一歩
――君子の道は、内なる修養から始まり、やがて天下を安んずる 弟子の**子路(しろ)**が、孔子に「君子とはどういう人物ですか」と問いかけました。 孔子はまずこう答えます。 「己(おのれ)を修(おさ)めて、以(もっ)て敬(けい)す。つまり、自分自身... -
礼を重んじる者のもとに、人は自然とついてくる
――リーダーが礼をもって接すれば、組織は一つにまとまる 孔子は「組織をまとめ、円滑に物事を進める秘訣」について、簡潔にこう語りました。 「上(かみ)、礼(れい)を好(この)めば、則(すなわ)ち民(たみ)、使(つか)い易(やす)きなり。」 つま... -
哀しみに礼をもって応える――死を悼むことで政治も整う
――喪の三年間、沈黙と慎みが礼の心を育てる 弟子の**子張(しちょう)**が孔子にこう尋ねました。 「書経(しょきょう)には、殷の高宗(こうそう)が諒陰(りょういん)と称して、三年の間、物を言わなかったとありますが、これはどういう意味なのでしょ... -
融通もいいが、志を捨てては生きる意味がない
――やめるのは簡単。だが、本当にやめていいのか? 衛の国で、孔子は**磬(けい)**という玉製の楽器を打っていました。その音を耳にした、もっこ(蕢:くわい)を担ぐ労働者がこう言います。 「おお、これは“心”のこもった音だな。」 しばらく立ち止まって...