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自分に厳しく、他人に優しく
—— 恨みを遠ざける生き方の基本 孔子は、人間関係における調和の原則を簡潔に、しかし深く語った。「自分に対しては厳しく反省し、他人に対しては寛大であれば、恨みを受けることも、抱くこともなくなる」と。 これは、単に「やさしくしよう」という道徳で... -
優秀な人を推せんするのも上の位の者の務めである
—— 地位にふさわしい行いとは、人を見抜き、推すこと 孔子は、魯の国の大夫・臧文仲(ぞうぶんちゅう)を厳しく批判した。「彼はまるで“給料どろぼう”のようなものだ。なぜなら、柳下恵(りゅうかけい)が賢者であることを知っていたにもかかわらず、彼を... -
徳よりも色が好きな人ばかりというのは困ったことだ
—— 外見や欲望ばかりに流されず、内なる徳を愛せよ 孔子は、深いため息とともにこう嘆いた。「困ったものだ。私はいまだかつて、色(いろ)を好むのと同じくらい熱心に徳を求める人を見たことがない」と。 “色”とは、単なる美しさや快楽、表面的な魅力を指... -
先のことを見通し配慮しなければならない
—— 目先の安心より、遠くの備え 孔子は、人が安心して暮らしていくために欠かせないものとして、**「遠い将来への見通し」**を挙げた。 「もし人が遠い先のことを見据えて考えなければ、必ず近いうちに困難や悩みに直面することになる」と。 今だけを見て... -
過去を含め、各国のよいところを学んで取り入れる
—— 伝統と実利、そして徳を選び取る知恵 顔淵(がんえん)が「国を治めるにはどうすればよいか」と問うと、孔子は答えた。「夏の暦を用い、殷の車を使い、周の冠をかぶり、楽は舜の韶(しょう)を舞う。そして、鄭(てい)の音楽は避け、口先ばかりの人間... -
師と友をよく選んで仁を磨け —— よき人間関係が、自分をつくる
子貢が「仁を実践するにはどうすればよいか」と問うたとき、孔子は、職人にたとえてその道を説いた。 「よい仕事をしたいと思うなら、まず道具を研ぎ澄ますことから始める。それと同じように、自らを磨きたいと思うなら、まずよき人に学び、よき人と交わる... -
仁の道は我が身より尊い時がある —— 命より大切なもの
孔子は、真に志を持った人や仁徳ある人物についてこう語った。「命を惜しんで仁を捨てるようなことはしない。むしろ、自らの命を捨てても、仁の道を守ろうとするのが彼らだ」と。 ここで説かれるのは、ただの自己犠牲ではない。それは、「仁」という、人と... -
人をよく選んで話せ —— 信頼と沈黙を見極める知恵
言葉は、いつ、誰に、どう伝えるかによって価値が決まる。孔子は、人との関係における「話すべきか、話さざるべきか」の見極めの重要性を説いた。 信頼できる人に対して、言うべきことを言わなければ、その人を遠ざけることになる。反対に、信頼できない相... -
信念を貫く者、時を見て動く者 —— どちらも尊い
孔子は、二人の人物の姿勢を通して「人としてのあり方の違い」を称賛した。 史魚(しぎょ)は、国に道(正義・正道)があろうとなかろうと、矢のようにまっすぐに真実を貫く人。正しいと思えば、たとえ危険があっても躊躇せず行動する。その実直さは、状況... -
誠実な言葉とまじめな行いによって思い通りになる
真心のこもった言葉と、まじめで丁寧なふるまい。それがあって初めて、人はどこにいても道を通すことができる。 子張が「どうすれば世の中で思い通りに行動できるか」と問うと、孔子は答えた。「言葉が忠実で信頼され、行動がまじめで慎み深ければ、たとえ...