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権力の筋を外せば、いずれ衰える
孔子は、歴史の流れと政治の法則を見抜いていた。魯国の本来の統治者である「公室」が、その権限を手放して五代。政治の実権が本来の中心から大夫へと移って四代。この筋を外れた変化の積み重ねが、やがて三桓(さんかん)――有力な三家の一族の衰退につな... -
政(まつりごと)の筋を正さねば、国は乱れる
孔子は、政治の正統性がどこから発するかに厳しい目を向けた。本来、礼(れい)や楽(がく)といった文化政策、また征伐(せいばつ)のような軍事行動は、天下の中心である天子(てんし)――つまり最上位の統治者から始まるべきだと説いた。 しかし世が乱れ... -
職務に全力を尽くし、余計な言い訳はやめよう
言い訳よりも行動。君子たる者は、責任を果たさずに言い訳をすることを恥とする。国や組織が揺らいでいるときこそ、力を尽くして支える姿勢が求められる。 魯の有力者・季氏が属国の顓臾を攻めようとしたとき、孔子は家臣の冉有と子路に厳しく問うた。「攻... -
身体の不自由な人への心くばりがそのまま作法となる
—— 思いやりから生まれる行動こそが、真の礼である ある日、**目の不自由な音楽師・冕(べん)**が孔子を訪ねてきた。孔子は自ら出迎え、階段に差しかかると「階段です」、席に着くときには「ここが席です」と優しく声をかけた。さらに、同席した弟子たち... -
相手によく理解できない言葉や文章はよくない
—— 言葉は、通じてこそ価値がある 孔子は、言葉や文章の本来の役割について簡潔に、しかし本質的に語りました。 「辞(ことば)とは、相手に“達する”ためのものである。それだけで十分だ。つまり、伝わることこそが言葉の使命であり、美辞麗句や技巧ではな... -
価値観、信条の違いは埋まるものではない
—— 目指すところが違えば、共に歩むことはできない 孔子は、人間関係や協力関係の前提について、きっぱりとこう述べました。 「目指す“道(みち)”が違えば、互いに相談して物事を進めることなどできない」。 これは、表面的なやりとりや利害ではなく、根... -
教育で人は違ってくる
—— 生まれではなく、学びが人をつくる 孔子は、人間の違いがどこから生まれるのかについて、次のように断言しました。 「人は“教育”によって違いが生じるのであって、生まれつきの差や階級によって区別されるものではない」。 これは、孔子の根底にある**... -
まずは自分の仕事をきちんとする
—— 責任を果たしたうえで、報酬はあとからついてくる 孔子は、主君に仕える者(現代で言えば組織の一員・働き手)の基本姿勢について、こう語りました。 「君主に仕えるには、まずその仕事を敬意をもって真剣に果たすことが大切だ。報酬や待遇のことを優先... -
正しい道理のことについては譲らなくていい
—— 君子は道理においてはゆるがず、しかし頑固ではない 孔子は、君子の態度のバランスについて、次のように語りました。 「君子は“貞”(てい)――つまり正しい道理には固く、一歩も譲らない姿勢を持っている。だが、“諒”(りょう)――すなわち偏屈で頑な、融... -
仁の実践においては、師に遠慮してはいけない
—— 仁を前にしたら、誰が相手でも一歩踏み出せ 孔子は、「仁(じん)」の実践における姿勢を明快に示しました。 「仁を実践する場面においては、たとえ相手が師であっても、遠慮してはならない。進むべきと思ったら、ためらわず行動すべきである」と。 こ...