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君子の愛は公平で、私情に流されない
真の君子は、公私をわきまえる。それは自分の子に対しても変わることはない。 ある日、孔子の門弟・陳亢(ちんこう)は、孔子の息子である伯魚(はくぎょ)に尋ねた。「先生から、あなたには特別な教えがあったのですか?」伯魚は答える。「特に変わったこ... -
富は一時、徳は永遠
人が心から敬い、語り継ぐのは、財ではなく徳である。孔子は、『詩経』の一節――「誠に富を以てせず。亦た祇(ただ)だ異を以てするのみ」――を引きながら、本当の評価は“富の大きさ”ではなく、“徳の高さ”によって決まるのだと語った。 斉の景公は、千駟(馬... -
志を貫く人は多く語られるが、ほんとうに実行する人は少ない
孔子は、善と不善への態度について、そして志と現実の距離について鋭く語った。 善を見れば、逃げる者を追うように全力で近づこうとし、不善を見れば、熱湯に手を突っ込んだときのように、反射的に退くべきだ――孔子は、そうした態度を実際に備えた人物を「... -
君子の品格は「九つの思い」から生まれる
君子――すなわち人格者は、常に自らの行いに意識的である。孔子は、君子が心がけるべき「九つの思考」を挙げ、その日常的な姿勢の大切さを説いた。 それは特別な力ではなく、見て・聞いて・語り・動くという、日々のあらゆる所作の中に現れる。慎みと誠実、... -
学ばぬ者は、救いようがない
人間の優劣は、境遇ではなく「学ぼうとする姿勢」で決まる。孔子は、人の学びのあり方に応じて四つの段階を示し、その最下層については「どうにもならない」と断じた。 生まれながらに道理を知っている者――これは聖人のような、きわめてまれな存在であり最... -
敬意なくして、人は徳を積めない
畏れ、敬う心は、君子の根本である。孔子は、真に立派な人間――「君子」は、次の三つのものに対して畏れ敬う姿勢を持つと説いた。 ひとつは、天命(てんめい)――天が人に授けた使命や自然の摂理に対する畏れ。ひとつは、大人(たいじん)――年長で徳を備えた... -
年齢によって、戒めるべき欲望は変わる
人は誰しも年を重ね、心も体も変わっていく。孔子は、人生の三つの段階に応じて、それぞれにふさわしい「自戒の対象」があると説いた。 若いときは、心が定まらず、感情に流されやすい。だからこそ、「色欲」を慎むべきである。働き盛りの壮年期は、力がみ... -
目上の人と話す時こそ、言葉に慎みを
対話の礼節を欠けば、思慮も見識も疑われる。孔子は、目上の人と向き合う際に犯しやすい「三つの過ち」を明示した。 ひとつは、相手がまだ話題にしていないのに、先回りして話し出してしまうこと。これは“躁(そう)”――出過ぎた態度だ。ひとつは、話しかけ... -
何を楽しむかで、その人の未来が決まる
楽しみには、人生を豊かにするものと、堕落させるものがある。孔子は、人生を正しく導く「三つの楽しみ」と、自らを損なう「三つの楽しみ」を明確に示した。 礼や音楽の節度ある実践に喜びを見出すこと。人の善を語り合い、賢い友を多く持つこと。こうした... -
友を選ぶことは、自分の人生を選ぶこと
どんな人を友とするか――それは、どんな自分になっていくかを決めることである。 孔子は、友人には「自分に益をもたらす者」と「自分を損なう者」があると断言した。正直な人、誠実な人、知識のある人と親しくすれば、自分もその影響を受けて成長できる。反...