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詩を学べば、心と教養が深まる
孔子は弟子たちに、「詩(詩経)」を学べと強く勧めた。詩はただの文学ではなく、人間性を養い、社会や人々との関係を豊かにする学問であると説く。 詩を学ぶことにより―― 興(こう):心が奮い立ち、感情が育まれる 観(かん):人々の生活や風俗を観察し... -
徳は、学んでこそ本物になる
孔子は、徳を備えていても、学問(まなび)を伴わなければ、それはかえって害になると説いた。子路に対し、六つの徳と、それぞれが学問を欠いたときに生じる「蔽(へい)=暗黒面」について語った。 六つの徳とその裏返し: 仁(じん)を好むが、学ばなけ... -
諌めの言葉に耳を傾けつつ、自らの信念も貫く
孔子が、謀叛を起こした佛肸(ぶつきつ)に招かれたとき、向かおうとした。しかし弟子の子路は、それを強く止める。「先生は、悪事に手を染める者と親しくしてはならないとおっしゃったではありませんか。佛肸は中牟を占領し、反逆した人物です。そんな者... -
「仁」とは、五つの徳を実践すること
子張が「仁」とは何かを尋ねたとき、孔子はそれを抽象的に語らず、きわめて具体的に答えた。「五つの徳を身につけ、それを天下に行えば、それが仁である」と。 その五つとは――恭(きょう):自らを慎み、礼を持って人と接すること。寛(かん):人に寛大で... -
理想を実現する場があるなら、ためらわず飛び込め
孔子は、謀叛を起こした公山弗擾(こうざんふつじょう)に招かれたとき、行くことを決意する。これに対し弟子の子路は、「そんな者のもとへ行くべきではない」と反対した。 だが孔子は答える――「私を招く以上、そこには覚悟があるはずだ。もし私を本当に用... -
正論に耳を傾け、素直に認めることが君子の器
孔子が弟子・子游の治める武城を訪れたとき、町には音楽があふれ、礼楽がしっかりと行き渡っていた。孔子はそれを喜びつつも、「鶏を割くのに牛刀を使うようなものだ」と冗談めかして語った。つまり、小さな町に対して子游ほどの才は少し過剰ではないか、... -
変われるか否かは「学ぶ意志」にかかっている
孔子は、人間の本質は大きく分けて三つに分かれると説いた。生まれつき真理を知る「上知」、努力によって道を知ろうとする大多数、そして学びを拒む「下愚」である。 人は学びを通じて変わることができる。だが、もともと悟っている者(上知)と、何があっ... -
才能の差より、学びの差が人を分ける
孔子は、人間に生まれつきの大きな差などないと説いた。人は誰もが似たような本性(性質・可能性)を持って生まれてくる。だが、生まれてからの学び方、習慣、努力の積み重ねによって、やがては埋められないほどの差が生まれるのだ。 努力を惜しまず学ぶ者... -
無礼に怒らず、機転と柔らかさでかわすのが君子の器
孔子は、相手の権勢や言葉の挑発に巻き込まれず、堂々とかわす姿勢を見せた。この章句では、強引で無礼な陽貨(ようか)とのやりとりが描かれる。 陽貨は権勢を握る魯の家臣で、孔子に会いたがっていたが、孔子は応じなかった。そこで陽貨は、孔子が礼儀上... -
呼び方には、その人と立場への敬意が宿る
孔子は、国君の正妻の呼び名の使い分けについて具体的に説いた。一見すると儀礼的で細かすぎると思われるかもしれないが、言葉づかいは人間関係と秩序を映す鏡である。 呼び方には「誰が、誰に、どう語るか」という文脈によって、使い分けのルールがある。...