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人には人の道の歩み方がある。君子の教えは一様ではない
子游は、子夏の門人たちを見て批判した。「彼らは掃除や接客の作法などの小さな事柄にはよく通じているが、本来学ぶべき道徳の根本が欠けているように見える。どういうことか?」と。 それに対して子夏は後にこう応じた。「游よ、それは違う。君子の道には... -
礼儀の形より、心の根本を忘れない
子夏は、人の行いにおける**「大小の徳」の優先順位**について語った。根本となる大きな徳――誠実さや正義感、他者への敬意など――を踏み外さなければ、細かな礼儀作法や形式に多少の出入り(乱れ)があっても、大きな問題にはならない、というのである。 服... -
信なくして、導きも忠告も届かない
子夏は、信頼の重要性について語った。君子は、まず人々からの信頼を得てから、その人々を働かせる。信頼がないままに命じれば、人々はそれを自分たちを苦しめる行為だと受け取ってしまう。 同じように、君主や目上の人に対しても、信頼関係を築いた上で諫... -
君子は威厳・親しみ・厳正の三つを兼ね備える
子夏は、君子の持つ多面的な魅力と品格を、三つの「変化(へんげ)」として説いた。君子は、見る距離や接し方によって、相手に異なる印象を与える。 遠くから望めば、儼然(げんぜん)として威厳がある。 近くに接すれば、温(おん)かで親しみがある。 そ... -
君子は過ちを飾らず、小人は過ちを取り繕う
子夏は、過ちに対する姿勢の違いについて語った。小人(しょうじん)――すなわち器の小さな人物は、過ちを犯すと、必ず言い訳をしようとする。自分の非を素直に認めず、外的要因を挙げたり、見かけを取り繕ったりして、責任を回避しようとする。 それに対し... -
君子も職人のように、ひたむきに道を究める
子夏は、職人の姿にたとえて、君子の学びのあり方を説いた。百工――つまり多様な職人たちは、それぞれの仕事場(肆)にこもって、自らの技術を磨き、仕事を完成させる。君子もまた、学びの場にあって道を究めることに全力を尽くすべきだと子夏は語る。 これ... -
広く学び、深く志し、熱心に問うて、身近に考える。仁はそこに宿る
子夏は、仁の道を志す者に必要な姿勢を、四つの要素で示した。すなわち、「博学」=広く学ぶこと、「篤志」=深く志すこと、「切問」=熱心に問い尋ねること、「近思」=身近な事柄に即して深く考えることである。 これらは単なる知識や知的好奇心の追求で... -
毎日一歩、毎月振り返る。それが本当の学び好き
子夏は、真に学問を好む人の姿勢について語った。それは、日々新しいことを学び、月ごとに過去の学びを振り返って忘れないという態度である。 知識を積み上げるだけでなく、それを定着させ、身につけ続ける努力こそが、学を愛する者の証。単に「新しいこと... -
小さな技より、大きな道。君子は本筋を見失わない
子夏は、趣味や技芸のような「小さな道」にも、それぞれに見るべき価値はあると認めた。しかし、君子たる者が目指すべきは、より遠大で根本的な「道」である。もし小道に深入りしてしまえば、その進路を妨げられ、本来の目的から逸れてしまうおそれがある... -
交わりは選別よりも包容。君子の姿勢は人を閉ざさない
子夏の弟子が、子張に「人とどう交わるべきか」と尋ねた。その問いに子張はまず、師である子夏の考えを尋ねる。弟子はこう答えた。「先生(子夏)は、良いと思う人とは交わり、そうでない人とは交わらないべきだとおっしゃいました」。 これを聞いた子張は...