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誘惑にも染まらず、策にも頼らない ― 本当の高潔さとは
権力や富、美しさや華やかさに近づかない人は、清らかで立派だ。だが、それ以上に清いのは、それらに近づいても染まらず、自分を貫く人である。また、策略や打算を知らない人は高尚であるが、それらを理解したうえで、なお使わない人こそ、真に崇高だとい... -
心は開き、才能は隠しておくのが君子の品格
君子たる者の心は、青空のように澄みきっており、誰が見てもその誠実さがわかるもの。だが、自らの才能や才覚は、人にひけらかすものではない。宝玉を布に包み、箱にしまっておくように、才華はむしろ目立たぬように秘めておくべきだ。心は透明に、才能は... -
世渡り上手より、愚直な人であれ
世の中の経験が浅い人は、世俗の汚れにもあまり染まらない。一方で、経験を重ねるほどに、世の仕組みや計略に深く巻き込まれてしまう。だからこそ、君子は器用に立ち回るより、愚直であるほうが尊い。細かな常識や礼儀にこだわるより、少し世間知らずで自... -
正しい生き方は、永遠の価値をもたらす
どれほど時代に翻弄されても、正しい道を守る人の生き方は、決して朽ちない価値を持つ。一方、一時の安楽や権力者への迎合は、かえって永遠の孤独と後悔を招く。真に賢い人は、今この瞬間の利益に目を奪われず、生きた証が未来に残るかを思い、たとえ孤独... -
真の君子に必要な「三つの知」
孔子は、立派な人物(君子)として生きるために不可欠な三つの知識を挙げている。それは、「天命(てんめい)」「礼(れい)」「言(げん)」である。 天命とは、人としての天から与えられた使命や、生きる上での不可避の流れを理解すること。それを知らな... -
政を担う者は、徳で導き、悪を避ける
政治に携わる者にとって最も大切なのは、徳をもって民を導き、不徳を遠ざけること。 孔子はその基本を「五美」(五つの美徳)と「四悪」(四つの害悪)という明快な基準で説いた。 君子たる為政者は、民に恩恵を与えつつも浪費せず、民に労を求めても恨ま... -
権力者に求められるのは、徳と責任の覚悟
天下を治める者は、ただ地位にあるというだけでは務まらない。古の聖王たちは皆、自らの地位を「天命」として重く受け止め、万民を思いやる心と、大きな責任を担う覚悟を持って政治を行った。 堯・舜・禹・湯・武王といった歴代の聖王たちは、権力の重みを... -
孔子の偉大さは天に昇るほど。私など到底及ばない
陳子禽(ちんしきん)は、子貢にこう問いかけた。「あなたは謙遜しすぎですよ。孔子先生が、あなたよりずっと勝れていたとは思えません」。これを聞いた子貢は、深い敬意と慎みをもってこう返した。 「君子は、一つの言葉で賢者と見なされることもあれば、... -
真に偉大な存在は、悪口では曇らない
魯の大夫・叔孫武叔が、孔子のことを批判した。これを聞いた子貢は、強く諫めるように言った。 「やめなさい。先生のような人物は、そもそも毀(そし)ることなどできません。他の賢者たちは、たとえば丘や丘陵のようなもので、努力すれば越えることもでき... -
孔子の偉大さは、簡単に見えるものではない
魯の大夫・叔孫武叔が朝廷で語り合う中で、「子貢は、その師である仲尼(孔子)よりも賢い」と言った。これを聞いた子服景伯は、それを子貢に伝える。 子貢は驚いて、謙虚にこう述べた:「とんでもない。先生と私とでは、比べものになりません。私のような...