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真の光は、最も暗い場所から生まれる
糞土に生まれるうじ虫は、最も穢(けが)れた存在に見えるが、やがて蝉となり、清らかな露を飲み、秋風の中で鳴く。腐った草からは光がないが、そこに生じた蛍は、夏の夜に美しく輝く。このように、清らかなものは常に汚れたものから生まれ、光は常に闇の... -
忠告には思いやりと現実性を
人の過ちを正そうとする時は、厳しすぎないことが大切である。相手の心がそれを受け入れられるかどうかを、まず考えるべきだ。また、善い行いを教える時にも、理想だけを高く掲げてはならない。実際にその人が実行できる範囲に応じて導いていくのが本当の... -
静けさの中にこそ、本当の活力がある
動くことばかりを好む者は、雲間を走る稲妻や風前の灯火のように、いつか消えてしまう危うさがある。反対に、静けさを求めすぎる者は、冷えた灰や枯れ木のように、生気を失ってしまう。理想は、静かな「止まった雲」「流れぬ水」のような境地に身を置きつ... -
家庭こそ、最高の修行の道場
家庭の中には、一人ひとりの真心によって生まれる“本物の仏”が存在し、日常の生活には、真実の道が息づいている。それは、父母や兄弟との関係において、誠意と和気を持ち、穏やかな顔つきと優しい言葉で接し、家族全体が心身共に調和した一体感を持って生... -
欲を抑え、控えめに生きる者に禍は及ばない
すべての物事において、少しのゆとりを残し、控えめな気持ちを持ち続けるならば、天も私を嫌って罰を下すことはなく、神々も害を加えることはない。しかし、事業や行いにおいて「満ち足りるまで」「最後まで」成果を求め、欲深く突き進む者には、やがて内... -
栄誉は分け合い、恥は引き受けよ
名誉や美徳、功績といった誉れ高い評価は、自分だけで独占してはならない。少しでも人に譲ることで、妬みや敵意を遠ざけ、自らの安全を保てる。逆に、恥や失敗をすべて他人に押しつけてしまってはならない。自分の責任も認めて引き受ければ、それが謙虚さ... -
自慢は功績を台なしにし、悔いは罪を清める
どれほど大きな功績も、それを少しでも誇った瞬間に、その価値は崩れ去ってしまう。一方で、天を覆うような大罪でも、心から悔い改めれば、救われる可能性がある。つまり、人の真価は、成し遂げた偉業そのものではなく、それをどう扱い、どう向き合うかに... -
情けは巡って、自分の福となる
この世を上手に生きていくには、他人に一歩譲る心が大切である。一見、後退に見えるその一歩が、実は自分が先に進むための土台となる。また、人に対して完全を求めず、少し寛大な心を持って接することが、結果として自分の人生を豊かにしてくれる。人を利... -
欲には控えめに、修行には妥協なく
人からの恩恵や利得を受けるときは、慎みを持ち、他人より先に出るような態度は慎むべきである。しかし、徳を積み、善い行いをする場面では、人より後れをとってはならない。享受するものには分相応の節度を守り、自分を鍛え成長させることについては、む... -
義理と純真を忘れた人に、人は惹かれない
友とつきあうなら、せめて三分の侠気――弱きを助け、正義を貫こうとする心を持っていてほしい。また、人として魅力ある存在であり続けるには、どんなに世間に揉まれても、せめて一点の「素心」――純粋な心を失わずに保っていたい。人は力や知識ではなく、義...