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心が澄みきっていれば、どんな暗闇の中にも青空がある
心の本体(しんたい)が正しく、清らかで、明るく輝いていれば、たとえ周囲が暗く、不安や恐れに包まれていようとも、自分の中には晴れやかな青空が広がっている。 逆に、心の中が曇り、よからぬ想念で覆われていると、どれほど明るい日中であっても、自分... -
名誉を求める心、目立ちたい欲は、どこまでも人を俗にする
名誉を求める心が根から抜けていない者は、たとえ権力や財産を遠ざけ、清貧な生活に甘んじているように見えたとしても、その心にはまだ「名を求める執着」が残っている。そうである限り、その人物は真に俗世を離れた者ではなく、単なる“名誉の形を変えた中... -
満たされすぎることは、かえって危うい——足りないことが、むしろ安定を生む
「欹器(きき)」という容器は、水が空のときは斜めに立ち、半分満たされると正しく安定するが、水がいっぱいになると逆にひっくり返ってしまう。また「撲満(ぼくまん)」という銭入れの器は、空のままなら完全な形を保つが、いっぱいになれば壊して中身... -
本物は静かに在り、評判を求めない——見せることに囚われた時点で、未熟となる
真に清廉な人物は、その「清廉さ」を他人に示そうとはしない。だからこそ、評判になることも少ない。逆に「清廉な評判を立てようとする者」には、その評判を自己利益や名声に利用しようとする、密かな欲が潜んでいることが多い。 また、真に巧みな技を持つ... -
学びは厳しさだけでなく、温かく育む心も必要である
学問を志す者には、まず自分を律し、真面目に努力する「兢業(きょうぎょう)」の姿勢が求められる。しかし、それだけでは足りない。物事に執着しすぎず、どこか余裕を持って軽やかに構える「瀟洒(しょうしゃ)」な心持ちも、同時に必要なのだ。 厳しさと... -
恵まれた者こそ、世のため人のために生きよ——それが生きる価値を生む
春が訪れ、花は美しく咲き、鳥はさえずる。自然界のすべてが、その恵みを惜しみなく分け与えている。それにもかかわらず、人間——とりわけ教養があり、社会的地位も得て、豊かに暮らしている士君子が——ただ自分の安楽のためだけに生き、世のため、人のため... -
富や名誉は「何によって得たか」で、その価値も寿命も変わる
富・地位・名誉がどのような過程で得られたものであるかによって、その持続性と本質的な価値は大きく異なる。 それが道徳に基づき、人格や正しい努力によって得られたものであるならば、それは自然の中に咲く花のように、根付き、自らの力で静かに繁り育つ... -
苦労の中にこそ、深い喜びは宿る——安易な得意の裏には落とし穴がある
真剣に物事に取り組み、苦心しながら歩む日々の中には、必ず小さくとも確かな喜びが隠れている。努力を重ねる中で得られる達成感、困難を乗り越えた後に見える風景、それらは一時の快楽とは比べものにならない深い悦びをもたらしてくれる。 反対に、物事が... -
本来の自己には、真の教養と美が宿っている——それを取り戻すための学び
人の心には、生まれながらにして立派な文章や、美しい旋律のような本質的な教えや芸術性が備わっている。しかしそれらは、浅薄な知識の断片や、華美な娯楽によって封じ込められ、埋もれてしまっていることが多い。 学び修業しようとする者は、こうした外的... -
志なき学び、行いなき言葉、私利の事業は、すべて空虚に終わる
学び、職に就き、教え、事業を起こす——これらすべては、世の中の役に立つという根本がなければ、真の価値を持たない。 聖賢の心に触れることなく、表面的に書を読む者は、ただの文字の奴隷に過ぎず、学問の本質を見失っている。人々の暮らしを顧みずに役所...