-
極めた表現や人柄には、技巧を超えた自然さが宿る
本当に優れた文章は、奇をてらった技巧も飾り立てた言葉も必要とせず、ただ自然に「ぴたりと合う」ものになる。それと同様に、人としての品格が真に高まれば、特別な振る舞いや飾り立てた行動をしなくても、自然体のままで深い魅力を放つ。 到達点にあるも... -
真心があれば、自然も人も動く
真心から出た一念は、季節の理すら変え、堅牢な城壁を崩し、金属をも貫く力を持つ。一方、偽りの心で飾り立てた者は、外見ばかりで中身がない。そんな者は人と接すれば嫌悪を抱かれ、自分自身と向き合っても恥ずかしさに苛まれる。 形式より本質、見た目よ... -
甘やかされた心は、欲望の火となって他人か自分を焼き尽くす
裕福な家、権力ある家に生まれ育つと、どうしても他人に甘やかされ、わがままな性格になりやすい。 そのような環境で育った人の欲望は、抑えきれぬ**猛火(もうか)のように激しく、また、権力を欲する心は、燃えさかる烈焔(れつえん)**のように強くなる... -
苦しみは知らぬ間に心を磨き、順調さは気づかぬうちに人を壊す
人が逆境――つまり困難で思い通りにならない状況にあるとき、その身にふりかかるものはすべて、まるで鍼(はり)や薬のように作用し、心を鍛え、行いを磨き、節操を強くしてくれる。 しかし、当の本人は、その“ありがたさ”にほとんど気づかない。ただ苦しい... -
自分の生き方は貫いてよい。ただし、それを振りかざしてはならない
あっさりと飾り気のない「澹白(たんぱく)」な人は、派手でしつこい「濃艶(のうえん)」な人からすれば、何を考えているかわからず、かえって疑いの目を向けられることがある。 また、真面目で厳格な「検飭(けんちょく)」な人は、だらしなく自由奔放な... -
自分の心が整えば、世界も穏やかに見えてくる
いつも自分の心を**円満(えんまん)**に――角を立てず、偏らず、丸く保っていれば、世の中にある不平や不足も、不思議と見えなくなる。 また、自分の心を**寛平(かんぺい)**に――広く、おおらかで、落ち着いた状態に保っていれば、世の中にある人間関係の... -
家庭の温かさとは、感情ではなく思いやりで人を導くところにある
家族の誰かが過ちを犯したとき、すぐに感情的になって怒鳴りつけたり、見限って冷たく突き放したりするのは避けるべきである。だからといって何も言わずに放っておくのも、思いやりに欠ける。 もし直接伝えるのが難しい内容であれば、他の話題にかこつけて... -
「君子」であることに甘えてはならない——偽りや変節は、小人以下の過ちとなる
人から「君子(くんし)」——つまり立派な人格者として見られている者が、もしその名に反して偽善を働くようなことがあれば、それは、つまらない小人(しょうじん)が公然と悪をなすのと、何ら違いはない。 さらに、君子と呼ばれる人物が節操を失い、自らの... -
いま享受しているものは「先祖の徳」、いま築くものが「子孫の幸福」
私たちが今日この瞬間に享受している生活の恩恵は、すべて過去の人々――祖先たちの積み重ねた努力と徳のたまものである。だからこそ、今ある恵みの背景には、長い年月をかけて築き上げてくれた苦労と真心があることを思い、感謝の心を忘れてはならない。 で... -
位階に関係なく、人のために尽くす者こそ真の政治家である
たとえ地位や肩書きがない一般の人であっても、日々徳を積み、人格を高め、他人に恵みを施し、尽くしているのであれば、その人はすでに「無位の公相(こうしょう)」——地位のない立派な政治家であると呼ぶにふさわしい。 反対に、大臣や高位高官のような身...