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暇なときこそが、未来の自分をつくる時間——陰の努力は陽の力となって現れる
時間に余裕のあるときでも、ただ何もせずにぼんやりと過ごさず、少しでも心を養い、知を積み、己を磨いておけば、いざ忙しくなったとき、その蓄積が生きてくる。 静かで何も起きない時でも、気を抜いてだらけることなく、心をしっかりと保っていれば、いざ... -
貧しくても、落ちぶれても、気品は保てる——それが人の品格を決める
みすぼらしい家であっても、庭先を丁寧に掃き清めていれば、豪華さはなくとも、そこに凛とした趣が生まれる。貧しい女性であっても、髪をきれいに整えていれば、華やかさはなくとも、そこに自尊心と美しさがにじみ出る。 同じように、君子たる者は、たとえ... -
清く、柔らかく、鋭く、穏やかに——すべての徳を調和させた人格こそ理想
人格は清廉であることが望ましい。だが、清廉すぎて相手を拒むようではなく、包容力をも併せ持つことが肝要である。 思いやりに富んだ仁者であることは尊い。だが、優柔不断ではなく、必要なときにはしっかりと決断できなければならない。 聡明であっても... -
心は風のように、雁の影のように——出来事が過ぎれば、執着せず心を空に戻す
風が吹き、まばらな竹に当たると、竹の葉はざわめき音を立てる。だが風が去れば、その音は消え、竹はもとの静けさを取り戻す。 雁が寒い澄んだ湖の上を飛びすぎるとき、水面にはその影が一瞬映る。だが雁が飛び去れば、その影も消え、水面は再び凪ぐ。 こ... -
極端に偏らず、中庸の美を知る——調和が人格を磨く鍵となる
理想は、高く広く掲げるべきものである。しかし、その理想があまりにも現実からかけ離れてしまっては、ただの夢想家になってしまう。 思考は、丁寧で緻密であることが必要である。けれども、細部にとらわれすぎて、物事の本質を見失っては本末転倒だ。 趣... -
過去に囚われず、いま持っている成果を育て、未来に備えるのが賢者の道
新しいことに手を出して大きな成果を狙うよりも、すでに成し遂げたもの、今ある業(わざ)を着実に守り育てる方が、はるかに堅実で成果につながる。 同様に、過去に犯した過ちや失敗をいつまでも悔やむのではなく、そこから反省を導き出し、未来の誤りを防... -
本心が座していれば、外からも内からも乱されることはない
人の五官——目や耳などを通じて入ってくる見聞は、外部から侵入してくる「外の賊」である。また、情欲や我欲、雑念などの思いは、心の内部に巣食う「内の賊」である。 だが、もしその人自身の本心(ほんしん)がしっかりと目覚めていて、ぶれることなく静か... -
欲を抑えることは、品格を守る最大の「財産」である
人がもし、たった一つでも「私利私欲」に心を染めてしまえば、本来持っていたはずの強さはたちまち弱くなり、澄んでいたはずの知恵は曇り、人を思いやる優しさは残酷さへと変わり、清廉な心は穢れてしまう。 その結果、積み上げてきた一生の人格や品格まで... -
荒々しくても動く者は鍛えられる——何もしない者だけが本当に使い物にならない
暴れ馬のように激しく制御しがたい者であっても、きちんと訓練すれば、やがて立派な駿馬として駆け抜けるようになる。鋳型から飛び出るような溶けた金も、手をかければ鋳型にきれいに収まる。 だが、本当にどうしようもないのは、何もせず、やる気も起こさ... -
清濁併せ飲む寛容さこそ、真の君子の器量である
雑菌や汚れを含んだ土地ほど、そこには豊かな生命が育ちやすい。反対に、あまりに澄んだ清水には、魚すら住みつくことができない。 この自然の原理と同じように、君子たる者もまた、多少の垢(あか)や汚れ、すなわち世俗の複雑さや人の未熟さをも、受け入...