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「君子」であることに甘えてはならない——偽りや変節は、小人以下の過ちとなる
人から「君子(くんし)」——つまり立派な人格者として見られている者が、もしその名に反して偽善を働くようなことがあれば、それは、つまらない小人(しょうじん)が公然と悪をなすのと、何ら違いはない。 さらに、君子と呼ばれる人物が節操を失い、自らの... -
いま享受しているものは「先祖の徳」、いま築くものが「子孫の幸福」
私たちが今日この瞬間に享受している生活の恩恵は、すべて過去の人々――祖先たちの積み重ねた努力と徳のたまものである。だからこそ、今ある恵みの背景には、長い年月をかけて築き上げてくれた苦労と真心があることを思い、感謝の心を忘れてはならない。 で... -
位階に関係なく、人のために尽くす者こそ真の政治家である
たとえ地位や肩書きがない一般の人であっても、日々徳を積み、人格を高め、他人に恵みを施し、尽くしているのであれば、その人はすでに「無位の公相(こうしょう)」——地位のない立派な政治家であると呼ぶにふさわしい。 反対に、大臣や高位高官のような身... -
最後の生き様が、その人の“真の価値”を決める
たとえ若い頃に奔放な生き方をしていたとしても、人生の後半において誠実な姿勢を貫き、よく伴侶を支えることができれば、過去のことは大きな障害にはならない。 反対に、若い頃は清く貞節だった人でも、老いてから節操を失って遊びにふけるようになれば、... -
天の目は誤らない——誠実な人には報いがあり、偽る人には罰がある
誠実で節操のある人格者は、自ら幸せになろうとあくせく求めず、静かに道を歩んでいく。その「無心さ」こそが美徳であり、天はその姿を見て、その人の真心に応えようとする。 反対に、心がねじれ、陰険な人は、自らの悪を隠しながら、うまく禍を避け、世渡... -
「天」にさえ屈しない覚悟——逆境を力に変える意志の力
もし、天が私に幸福を与えないという冷遇を与えるなら、私はむしろ自らの徳を深め、人格を磨いて、それにふさわしい幸福をつかみ取ってみせよう。 もし、天が私に身体的な苦しみを課してくるなら、私は心を穏やかに保ち、内面の平安によってその苦しみを補... -
志を立てたら迷わずに進め——見返りを求めた瞬間に、すべては濁る
もし「自分を捨てて、人のために尽くす」と決意したなら、その瞬間から、損得や打算といった迷いは、捨てておかなければならない。もし心の中に「それでも本当に良いのだろうか」という疑いを持ち続けるようであれば、その最初の志は、曇り、恥ずべきもの... -
本物の静けさ、本物の楽しさは「逆境」の中にこそ現れる
穏やかで静かな環境において、心を静かに保つことができても、それは状況によって作られた静けさであり、まだ“真の静”とは言えない。むしろ、喧騒の中でこそ心の静けさを保つことができたとき、初めてそれは「天性の静けさ」、つまり本性から湧き上がる静... -
静けさ・ゆとり・淡泊さの中に、自分の“ほんとうの心”があらわれる
人は、自分の心のことを最も知らない。だが、それを深く見つめ、本当の自分と出会うためには、以下の三つの時間が最も適している。 静かなとき: 考えが澄みきり、雑念が晴れたとき、 初めて「心の本体(しんたい)」がはっきりと見えてくる。 暇でゆと... -
迷いは早く気づいて正せば、禍が福に転じる——小さな逸れこそ、大きな分かれ道
ふと心に生じた考えが、私利私欲の方向へわずかでも向かっていると感じたなら、その瞬間に気づき、すぐさま正しい道理の方向へと引き戻さねばならない。 このように、迷いや誤りの芽を早く察知し、すぐに修正することで、本来なら災いとなるはずだったもの...