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許す心が、人を守り、己を高める
人の小さな過ちを責めないこと。人が隠したいことをわざわざ暴かないこと。そして、人が忘れたい過去の失敗や悪事をいつまでも記憶し続けないこと。 この三つを守る者は、自然と徳を養い、品格を高めることができる。さらに、無用な恨みを買わず、争いや害... -
美味も快楽も、五分の節度が身を守る
口に心地よい美食は、度を越すとやがて身体を蝕み、毒となる。心を喜ばせる楽しみもまた、過ぎれば人格を壊し、徳を失うことになる。 だが、どちらも「五分(ごぶ)」――つまり「ちょうど半ばのほどよさ」であれば、害もなく悔いも残らない。喜びや快楽その... -
真の世界では、万物が我と一体となる
この現実の世界は、幻にすぎない仮の場。名声や富は言うまでもなく、自分の肉体さえも天から預かった一時の形にすぎない。だが、真実の境地においては、父母兄弟といった近しい者はもちろん、あらゆる万物が自分とつながり、一体の存在であると気づかされ... -
極めた表現や人柄には、技巧を超えた自然さが宿る
本当に優れた文章は、奇をてらった技巧も飾り立てた言葉も必要とせず、ただ自然に「ぴたりと合う」ものになる。それと同様に、人としての品格が真に高まれば、特別な振る舞いや飾り立てた行動をしなくても、自然体のままで深い魅力を放つ。 到達点にあるも... -
真心があれば、自然も人も動く
真心から出た一念は、季節の理すら変え、堅牢な城壁を崩し、金属をも貫く力を持つ。一方、偽りの心で飾り立てた者は、外見ばかりで中身がない。そんな者は人と接すれば嫌悪を抱かれ、自分自身と向き合っても恥ずかしさに苛まれる。 形式より本質、見た目よ... -
甘やかされた心は、欲望の火となって他人か自分を焼き尽くす
裕福な家、権力ある家に生まれ育つと、どうしても他人に甘やかされ、わがままな性格になりやすい。 そのような環境で育った人の欲望は、抑えきれぬ**猛火(もうか)のように激しく、また、権力を欲する心は、燃えさかる烈焔(れつえん)**のように強くなる... -
苦しみは知らぬ間に心を磨き、順調さは気づかぬうちに人を壊す
人が逆境――つまり困難で思い通りにならない状況にあるとき、その身にふりかかるものはすべて、まるで鍼(はり)や薬のように作用し、心を鍛え、行いを磨き、節操を強くしてくれる。 しかし、当の本人は、その“ありがたさ”にほとんど気づかない。ただ苦しい... -
自分の生き方は貫いてよい。ただし、それを振りかざしてはならない
あっさりと飾り気のない「澹白(たんぱく)」な人は、派手でしつこい「濃艶(のうえん)」な人からすれば、何を考えているかわからず、かえって疑いの目を向けられることがある。 また、真面目で厳格な「検飭(けんちょく)」な人は、だらしなく自由奔放な... -
自分の心が整えば、世界も穏やかに見えてくる
いつも自分の心を**円満(えんまん)**に――角を立てず、偏らず、丸く保っていれば、世の中にある不平や不足も、不思議と見えなくなる。 また、自分の心を**寛平(かんぺい)**に――広く、おおらかで、落ち着いた状態に保っていれば、世の中にある人間関係の... -
家庭の温かさとは、感情ではなく思いやりで人を導くところにある
家族の誰かが過ちを犯したとき、すぐに感情的になって怒鳴りつけたり、見限って冷たく突き放したりするのは避けるべきである。だからといって何も言わずに放っておくのも、思いやりに欠ける。 もし直接伝えるのが難しい内容であれば、他の話題にかこつけて...