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愛情は、重すぎず、軽すぎず ― 与え方が心を決める
大金を与えても、その場の感謝すら得られないことがある。一方で、たった一度のささやかな施しが、一生心に残る恩となることもある。 つまり、思いの重さや与える量が、そのまま相手の心に響くとは限らない。愛情が重すぎると、かえって相手に負担や反発を... -
小事に誠を尽くし、逆境に心を崩さぬ者こそ、真の英雄
どんなに小さなことでも、決して手を抜かず誠実に取り組む。人目のないところでも、自分をごまかさない。そして、失意のときにも投げやりにならず、節度と努力を失わないこと―― この三つを守れる人こそが、本当の意味での「立派な人物」であり、真の英雄と... -
身内には冷静さを、友には即応を
肉親や家族が思わぬ災難に遭ったときには、感情に流されて取り乱すのではなく、冷静に落ち着いて対応するのがよい。一方で、親しい友人や仲間が失敗したり苦境に陥ったときには、ためらわずに素早く、的確な支援をすることが大切である。 家族には「沈着冷... -
人に迎合せず、正しき信念をまっすぐに貫く
信念を曲げて人に好かれるよりも、信念を貫いて嫌われたほうがよい。善いことをしていないのに褒められるくらいなら、悪いことをしていないのに非難されるほうがまだましだ。 本当に大切なのは、他人の評価ではなく、自分の心の正しさ。世間の顔色をうかが... -
正しさを私情で曲げず、私利の場には足を踏み入れない
誰が見ても正しいとされる意見には、私的な感情や都合で異を唱えるべきではない。もし私情で反対すれば、それは後の世まで恥とされる行為となる。 また、権力と私欲にまみれた人々の場に近づいてはいけない。一度でも関係を持てば、それだけで一生の汚点と... -
名を求めず、日々の徳を静かに積む
私的な恩を売るよりも、公正な意見や正義に力を添えるほうがよい。新しい交友を求めるよりも、古くからの信頼ある関係を大切にすべきである。名声を立てることに熱中するよりは、人知れず善を積み上げる方が深く尊い。派手な行動で目立つより、ごく当たり... -
盛んな時こそ、慎みを忘れずに
老いてからの病は、若く元気な頃の無理や不摂生が招いたもの。落ちぶれてからの災いは、順調で勢いがあった時期の驕りや過信の結果である。 だからこそ、満ち足り、順調に思える今こそが、自戒すべきときである。油断せず、恐れ慎みながら歩むこと――それが... -
恩も仇も、心に残さず静かに手放す
うらみは、善意を与えたときにこそ生まれやすい。だから、人に良くした後は感謝を求めず、徳も怨みもどちらも忘れてしまう方がよい。 また、仇もまた、恩を施したときに生まれがちである。恩を押しつけるよりも、恩も仇も共に跡形なく消えるようにするのが... -
喜びを味わい、虚しさを恐れる ― 限りある命を真に生きる
天地は永遠に続いても、私たちの人生は一度きり。百年という寿命でさえ、実際には瞬く間に過ぎ去ってしまう。 せっかくこの世に生まれ、生きているならば、その喜びを味わうべきである。同時に、気づかぬうちに虚しく時を過ごしていないか、自らを省みるお... -
落ち着きと活力、その両方が指導者の品格をつくる
指導的立場にある者、すなわち士君子は、自分を軽く扱ってはならない。軽々しい言動は、外部の出来事に心を振り回され、落ち着いた風格を失わせる。 しかしその一方で、あまりに構えすぎ、慎重になりすぎてもいけない。重苦しさは、外のものへの過度な反応...