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私欲という魔に打ち克つには、「照らす力」と「斬る力」が必要である
自分の中にひそむ私欲に打ち克ち、欲望を制するには、まずそれが欲であると早く気づき、見極めることが第一である。しかし、たとえ気づいたとしても、意志の力が弱ければ実行には移せず、結局、欲望に流されてしまう。 つまり、「これは欲だ」と照らし出す... -
空が移ろうように、心もまたしなやかに変化せよ
晴れ渡る空も、突然に雷がとどろき、激しい風雨が襲うかと思えば、やがてそれも止み、月が夜空を静かに照らし出す。 このように、大自然は常に変化し、とどまることがない。風雨も、雷も、青空も、どれも一時の姿にすぎない。 人の心もまた、自然のように... -
心がぼんやりしても、張り詰めすぎても、「ちょうどよい自分」に戻る技を持て
心がぼんやりとして、集中できずに気が散っているときは、自分の本心を呼び起こし、意識をしっかりと引き戻す必要がある。 一方で、緊張しすぎて気持ちに余裕がないときには、思い切って手をゆるめ、心をほどいてやることが大切だ。 どちらかに偏りすぎる... -
沈黙の奥に潜むもの、激情の裏にあるもの ― 関わり方は慎重に
無口すぎて何を考えているのかわからない人には、こちらも軽々しく本心を明かすべきではない。それは壁のような沈黙であり、信頼の通路が開かれていないからだ。 また、感情的に怒りやすく、自分ばかりが正しいと信じ込む人には、口を慎み、距離をとること... -
短所は包み、頑固さは導く ― 人を責めず、育てる態度を
人の短所に気づいたとき、それをあからさまに指摘して傷つけるのではなく、やさしく丁寧にフォローし、うまくつくろってやることが大切である。 もし、相手の欠点をそのまま暴いてしまえば、それは自分の短所で相手の短所を攻めるようなもので、何の成長も... -
偏らず、驕らず、他者へのまなざしに謙虚であれ
一方の話だけを鵜呑みにして、悪賢い者の策略に踊らされてはならない。自分の力にうぬぼれて、自信過剰のまま突き進んでもいけない。自分の得意を誇って、他人の弱点をさらけ出すようなことをしてはいけない。自分が不得意だからといって、他人の才能をね... -
沸き立つ激情の中に、ふと立ち止まる“もう一人の自分”を持て
激しい怒りが心に燃え上がり、欲望が堰を切ったようにあふれるとき、人はそれが良くないと頭では分かっていながら、つい愚かな行動に出てしまう。 そのとき――「それを知っているのは誰か?」「それでもなお、犯してしまうのは誰か?」とふと我に返り、自問... -
珍しさに飛びつかず、独善に陥らず、真の見識を深める
目新しいものに飛びつき、珍しいものばかりを喜ぶ者は、その先にある本質的で遠大な見識にたどり着くことはできない。 また、他人の意見や学びに耳を貸さず、ひたすら自分のやり方に固執する者は、長く続けることができず、結局は本物の節操や成果に至らな... -
盛りにこそ衰えの兆しあり、底にこそ再生の芽が宿る
平時には備えを、乱時には忍耐を。 物事がもっとも盛んなとき、すでにその中に衰えの兆しは潜んでいる。逆に、すべてを失ったように思えるどん底の中にこそ、新たな再生のきっかけが芽生えている。 だから、君子たる者は順調なときほど気を引き締め、未来... -
才を隠し、身を屈して生きる者こそ、真に世を渡る知恵者
優れた人は、その才を誇らず、むしろ愚かに見せて身を守る。清廉でありながらも、あえて世俗の中に身を置き、表向きは身を屈していても、それは将来、大きく飛躍するための知恵ある選択である。 こうした生き方は、変化の激しい世の中を渡るための浮き袋の...