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一番近しい関係こそ、一番深い妬みも生まれやすい
冷静さと平常心が、自分を悩みの闇から救う。 人の態度というものは、貧しい者に対してよりも、金持ちや権力を持つ者に対してのほうが、温かくも冷たくも変わりやすい。また、他人に対するねたみやそねみよりも、親や兄弟など、身近な肉親に対する妬忌の心... -
美と潔白は、誇った瞬間に敵をつくる
美しいものがあれば、必ずその反対に醜いものがある。それらは表裏一体の対の存在である。だから、自らの美しさを誇らなければ、誰もそれに対して醜さをぶつけてくることはない。 同じように、清らかさ(潔)があれば、その反対に**汚れ(汚)**も存在する... -
肉親のあいだでは、恩も徳も数えない――自然な愛情こそ本物
親が子を思いやり、子が親に孝を尽くし、兄や姉が弟妹をいたわり、弟妹が兄姉を敬う。これらがたとえ完璧なまでに実行されていたとしても、それは**肉親として“当然のこと”**であって、いちいち感謝の言葉を交わしたり、恩を着せたりするべきものではない... -
光り輝く成果は、誰も見ていない場所での積み重ねから生まれる
堂々と世に示すことのできる潔白な節操や高い道義は、人目のつかない暗く静かな場所での地道な修行や内省によって育まれる。 また、国家の運命を動かすような大きな施策や変革の実現も、それは決して偶然の賭けや感情の爆発からではなく、水の底を歩くよう... -
ほめ言葉にも悪口にも、慎重な判断と節度を
たとえ相手が善人であっても、まだ深い信頼関係が築けていないうちは、うかつにほめるべきではない。なぜなら、それを妬む者や悪意ある第三者が、仲を裂こうと告げ口や中傷をしてくる恐れがあるからである。 また、相手が悪人であっても、まだ完全に関係を... -
独自の信念を持ちながらも、偏らず公を見据える
自分の考えが少数派であったとしても、それが正しいと信じるものであれば、他人に合わせて曲げてはならない。しかし、だからといって他人の意見を無視して、自分の考えに固執するのもまた誤りである。 また、目先の小さな利益や感情的な損得にとらわれて、... -
無防備すぎず、疑いすぎず ― 中庸の人こそ、真にどっしりとした人
人に危害を加えようとする攻撃の心を持つべきではない。しかし一方で、他人からの危害を防ぐ意識や備えは、必ず持っておくべきである。 これは、他人を信じすぎて何の備えも持たない「不用意な人」への戒めである。 また、「人に欺されないように」といつ... -
小さな天地としてのわたし、大きな天地としての世界
自分の心と体は、それ自体が一つの小さな宇宙(小天地)である。その中で、喜びや怒りといった感情が乱れず、好き嫌いの判断も自然の理(ことわり)に則っていれば、そこには静かで美しい調和が生まれ、人生そのものが整っていく。 また、天地(自然)は万... -
逆境こそが、真の人物を鍛える熔鉱炉である
逆境や困難、そして貧しさは、優れた人物を鍛え上げるための熔鉱炉(ようこうろ)や金槌のようなものである。 それらをしっかり受け止め、耐え忍び、前向きに取り組む者は、心も体も強く、深みある人物へと成長する。 一方で、その試練から逃げたり、ぬく... -
感情を超えて沈黙する人に、計り知れない力が宿る
誰かが自分をだましていると分かっても、それを言葉にして相手を責めたりはしない。 誰かが自分を侮っていると感じても、怒りや不快を顔に出すことはしない。 これらは非常に難しいことだが、できるようになれば、言葉では言い尽くせないほどの深い含意が...