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清濁併せ呑む度量が、人とのつながりと成長を育てる
自分自身のふるまいや心がけについては、あまりに潔癖すぎてはならない。この世の中には、よごれやけがれ、理不尽や不快な出来事も多くある。そうした一切を受け止められる懐の深さと忍耐の器量がなければ、社会を円滑に渡り歩くことは難しい。 また、人と... -
富も若さも一時のこと――だからこそ、慎みと備えを忘れるな
財産や地位を手にしているときほど、「これが失われたとき、自分はどうなるのか?」ということを思い、今なお困窮している人たちの苦しみに寄り添える想像力を持つべきである。 また、自分が若く元気な時期にあるときほど、必ずやってくる老いや衰えの辛さ... -
公と私における基本――役人には「公平と清廉」、家庭には「思いやりと倹約」
役人の心得: 一つ目は「**公平(こうへい)**であること」。――これさえ守れば、判断が明快となり、職務は正しく遂行される。 二つ目は「**清廉(せいれん)**であること」。――これがあれば、自然と周囲に対して威厳が生まれ、信頼される存在になる。 つま... -
心・人・物において“使い尽くさぬ”こと――それが未来への徳となる
第一に、自分の心を物欲で曇らせないこと。私欲に覆われた心では、何を見ても正しく判断できなくなる。 第二に、人の情にすがりきらないこと。人の親切や厚意を当然のように受け尽くしてしまえば、人間関係の調和は崩れてしまう。 第三に、物の力を使い果... -
騒がしさに流されぬために、静かなときに心の軸を整える
忙しいときにも心の余裕を保ちたいと願うのなら、まずは時間に追われない静かなときに、自分の心の「つか(柄)」を探しておくことが必要である。また、騒がしい状況でも静けさを保ちたいと思うなら、まず落ち着いた環境で、自分の心の主宰=主体性を確立... -
外の飾りより、内なる輝きを――人の価値は中身に宿る
功績を誇り、学問や教養をひけらかすような人は、人間としての価値を“外物”に頼って生きている。しかしそれは、真に価値ある生き方とは言えない。 本当に大切なのは、自分の心の本体――「心体(しんたい)」が、玉のように澄み輝いていることである。もしそ... -
耐えることは、人生を支える一本の柱である
昔の人はこう言った――「山に登るときは、傾いた道に耐えながら進まなければならない。雪道を行くときは、危ない橋を渡るのに耐えることが必要だ」と。 この「耐(た)える」という一字こそが、どれほど深い意味を持っていることか。 人の心は傾きやすく、... -
奇を求めず、平凡な徳を積む者が、最も穏やかに人生を全うする
陰謀や怪しげな習慣に頼ったり、奇妙な行動や人をあざむくような特殊な能力を誇示して、この世をうまく渡っていこうとすることは、いずれ禍(わざわ)いを招く種となる。 人目を引き、不思議がられるような力や振る舞いに価値があるように思えても、それら... -
一念のやさしさが、未来の世を清らかにする
たとえ小さなものであっても――私たち一人ひとりの、ほんのひとかけらの誠実さや思いやり(慈祥)は、この世の中になごやかな空気をゆっくりと醸し出していく。 そして、心の奥底にあるたった一寸(いっすん)の潔白な思いは、百代(ひゃくだい)――つまり、... -
誠と正義をもって接すれば、どんな人も感化できる
うそをついて人をだまそうとする者に出会ったなら、こちらは誠実な心をもって接し、その心を動かし、改心させたい。乱暴で手がつけられないような者には、あえてやわらかな和やかな気持ちで接し、ゆっくりと温めるように感化したい。心がねじれて私利私欲...