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晩年こそ、精神を燃やして美しく輝け
たとえ日が沈み、一日が終わりに近づいても、夕映えの空はなお絢爛たる美しさを放つ。また、年の瀬が迫って寒さが深まっても、だいだいやみかんなどの柑橘類は、かえってその芳しい香りを強くする。 このように、自然界には「終わり」が「衰え」ではなく、... -
世に調和しても、流されるな――“和して同ぜず”の智慧
この世をうまく生きていくためには、世俗の人々とまったく同じではいけない。自分を失ってただ従うだけでは、自立した人格にはなれない。 しかし逆に、人とまったく異なる行動をとって孤立するのも、また誤りである。特異さを誇るだけでは、調和を失い、物... -
成功するのは、素直で円満な人。失敗するのは、執着しすぎる人
歴史に名を残すような功績を上げたり、大きな事業を成し遂げる人物というのは、たいていの場合、**素直で柔軟な心を持ち、物事に対して円満に対応できる「虚円の士」**である。 こうした人は、自己主張ばかりせず、人の意見を素直に受け入れ、また、対立を... -
孤高すぎれば人は離れ、急ぎすぎれば和は失われる
どんなに高く聳え立つ山でも、その頂があまりにも険しく切り立っていれば、木は生えない。一方で、谷川のあたりには、草木が群れをなして生い茂る。 また、水の流れが急激なところには魚が住めない。だが、流れがゆったりと滞っている深い淵には、魚やスッ... -
中傷はすぐ晴れるが、へつらいは気づかぬうちに身を滅ぼす
誰かが私のことを中傷したり悪口を言っても、それはほんの一寸の雲が太陽を隠すようなものである。一時的に人の目をごまかすかもしれないが、真実はやがて明らかになり、雲はすぐに晴れていく。 しかし、それに比べてこびへつらってくる人間(媚子・阿人)... -
恩を忘れ、悪意に敏感――それは冷酷さの極みである
人からどれほど深い恩を受けても、それには報いようとしない。しかし逆に、他人から少しでも害を受けたり、自分が不快に思ったりした場合には、その怨みがどれほど些細なものであっても必ず報復しようとする――そんな態度をとる人間がいる。 また、人の悪い... -
名を好む者は、道義を偽る――最も危うい偽善の姿
私利私欲をむき出しにして行動する者は、あからさまに道義から外れているため、誰の目にもその害が見えやすく、被害も比較的浅くて済む。その姿は露骨で、警戒しやすいため、周囲もある程度対応できる。 しかし、名声や評判を欲しがる者は、道義の「名」を... -
磨き育てるには百回鍛え、事を起こすには重く放て
自分を磨き育てていくには、ちょうど金属を精錬するように、何度も何度も熱しては打ち、時間をかけて鍛えていく必要がある。すぐに結果を求めて手っ取り早く作り上げたものは、本当の修養・本物の人格にはならない。 また、何か新しい事業や行動を起こすと... -
欲は治せても、理屈に固まった心は治しがたい
人が欲望に執着している場合には、それをやめさせ、改めさせることはまだ可能である。なぜなら、欲は外に現れるものであり、条件や環境によってある程度制御できるからだ。 しかし、人が自分の「正しさ」に執着している場合――つまり「理屈(義理)」に固執... -
小人と争うな、君子にこびるな――人間関係の品位を保つ
つまらない小人物(しょうじんぶつ)――つまり、自己中心的で偏狭な小人とケンカをしても意味はない。なぜなら、彼らには彼らと同じレベルの者が自然と争いの相手として現れるものだからである。人格のある者がわざわざそこに降りて行って争う必要はない。 ...