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評判に流されず、自ら見極める目を持て
他人の悪い評判を聞いたとき、すぐにその人物を嫌うべきではない。それは単に、誰かが私怨や怒りをぶつけたくて流した讒言かもしれない。 また、良い評判を聞いたときも、すぐにその人物を信頼して近づくのは危険である。もしかすると、それは利を求める者... -
寛さは幸いを呼び、こせこせは福を逃す
仁ある人――すなわち思いやり深く、他人の立場に立てる人は、心が寛やかでゆったりとしている。そのゆとりが、深い幸福と長く続く喜びをもたらし、あらゆる言動にも自然とゆとりが表れる。 これに対して、鄙しい人――すなわち心が卑しく、目先の損得ばかりを... -
冷静さこそ、あらゆる判断の土台である
人と接するときも、物事を判断するときも、常に冷静さを保つことが大切である。 人を見るときは、先入観や感情を交えず、冷静な目で観察すること。人の言葉を聞くときも、興奮や同調に流されず、冷静な耳で聞き取ること。感情が揺さぶられるような出来事に... -
満ち足りた時こそ、慎み深くあるべし
人の地位や財産が極限まで満ち足りたとき、それは水があふれそうな器のような状態である。そこにさらに欲を加えようとすれば、すべてを失う危険にさらされる。 また、危うい地位にある者は、今にも折れそうな木のようなものだ。そのようなときに、もう一押... -
欲望より、自分に克つことを楽しめ
世の中の多くの人は、欲望を満たすことを楽しみとし、それが人生の喜びであると考える。しかし、欲望はしばしば思うように満たされず、満たされたとしてもさらに新たな欲望を生み、結果として苦しみを引き寄せる。 これに対して、道に達した立派な人は、「... -
小人に好かれるな、君子にしかられよ――その評価は本物か
つまらない小人から嫌われ、悪口を言われるのはかまわない。しかし、そんな小人の気に入るようなふるまいをし、ご機嫌を取って好かれてしまうようではむしろ危うい。なぜなら、小人とは目先の損得や私情で動く人物のことであり、その賞賛は浅く、迎合すれ... -
飲食・名声・地位――過剰な欲望は人を小さくする
飲み食いの楽しみにばかり耽(ふけ)るような家は、良い家庭とは言えない。どれほど経済的に豊かであっても、日々の関心が宴会や贅沢に傾きすぎているならば、そこには節度や品格、精神的な豊かさが欠けている。 また、名声や評判を追いかけることを習い性... -
「くよくよ・いい気・油断・気後れ」――この四つを捨てよ
人生において、次の四つの“心のクセ”に惑わされてはならない。 くよくよするな(毋憂拂意) 思い通りにいかないからといって、いつまでも思い悩んでいてはならない。 状況は変わるし、失敗もまた学びの一部である。前を向いて動くことの方が大切。 いい... -
美徳も度を越せば、かえって害となる
倹約(けんやく)は美徳である。しかし、それが過ぎてしまえば、吝嗇(りんしょく)――つまりケチな性格になってしまい、いじきたなく卑しい印象を与え、人品も疑われてしまう。その結果、本来目指すべき高潔な道(雅道)をも傷つけることになる。 同様に、... -
強さとは静けさに宿る――本物は、見せない
鋭い爪と眼を持つ鷹は、木に止まっている姿を見るとまるで眠っているように見える。獰猛な虎も、歩いているときの姿は病人のようにゆっくりと、ふらついているように見える。 しかしそれこそが、人に飛びかかり、咬みつくための備えを秘めた本当の姿なのだ...