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第九章 進言を奨励する態度かどうか
第九章「進言を奨励する態度かどうか」解説 この章は、唐の太宗(李世民)が**「真の進言を引き出す難しさ」**と向き合う姿勢を描いた場面であり、彼の治政哲学における根幹にかかわるテーマ――直言(諫言)とその受容のあり方――を扱っています。 1. 内容の... -
第八章 国の良薬
第八章「国の良薬」は、非常に短い章ではありますが、「諫言を薬と見なす」唐の太宗の政治哲学を象徴する重要なエピソードです。 章の要点 時代背景:貞観十七年(643年) 登場人物: 高季輔(こう・きほ):皇太子付きの右庶子(侍従役)、有識者であり進... -
第七章 馬よりも信用が大事
第七章「馬よりも信用が大事」は、外交における信義と威信の大切さを強く訴える内容であり、魏徴の諫言が再び、唐の太宗による政治の成熟度を高める決定打となる章です。 章の要点 時代背景:貞観十五年(641年) 登場人物: 太宗(唐の皇帝):西域政策を... -
第六章 上奏の文言はきつくなる
第六章「上奏の文言はきつくなる」は、直言の表現とその受け止め方の問題を通じて、君臣関係における「誠実な意見具申」の価値を明らかにしています。 章の要点 時代背景:貞観八年(634年) 登場人物: 皇甫徳参:陝県の副長官(地方官) 魏徴:侍中(中... -
第五章 地方官の気持ちを大事にする
第五章「地方官の気持ちを大事にする」は、中央と地方の信頼関係、進言の価値、君主の徳治のあり方を描いた、貞観政要の中でも非常に温かみのある章の一つです。 要点と解説 背景:鷹をめぐる事件 貞観三年(629年)、李大亮は涼州都督という辺境の長官と... -
第四章 行幸はやめるべし
第四章「行幸はやめるべし」は、統治者の私的欲望と公共的責任のせめぎ合いをテーマとした逸話です。ここでは、天子の権威と贅沢、そして進言の意義が短いながらも濃密に描かれています。 要点と要約 背景 貞観七年(633年)、太宗は避暑地である九成宮へ... -
第三章 馬飼いの処罰か、国の威信か
章の要点と要約 背景と経緯 太宗が特に寵愛していた一頭の名馬が、病気もないまま急死してしまった。怒りに駆られた太宗は、その飼育係を処刑しようとします。 そこに登場するのが、長孫皇后です。彼女は諫めの言葉として、**『晏子春秋』**に見える斉の景... -
章の要点と要約
背景 貞観四年(630年)、太宗は洛陽巡幸を計画し、その準備として乾元殿の修理を命じました。しかし、給事中(政治監督役)の**張玄素(ちょう げんそ)**がこれを聞いて、詳細な上奏文で強く諫めます。 張玄素の五つの諫言 張玄素は、現状と過去の史例を... -
第一章要約:「他人の妻を奪うこと」
背景と場面 貞観年間初期、太宗が王珪と談話している最中、宮中に仕える美人が側に控えていました。彼女は、太宗の一族である廬江王李瑗(りえん)の妻でしたが、李瑗が謀反を起こして敗北したため、その妻が没収され宮中に入っていたのです。 太宗は李瑗... -
第十一章 最初の兆しを諫める
この章では、太宗が諫議大夫の褚遂良に問うかたちで、「贅沢や過ちの“はじまり”をどう扱うべきか」という非常に現代的なテーマを論じています。些細な兆候でも見逃さず、国家の安寧を守ろうとする強いリーダーシップと謙虚さが表れています。 1. 舜と...