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礼は名目よりも実情を尊ぶ
―『貞観政要』巻一より 🧭 心得 礼の本質は、形式にとらわれるのではなく、人としての恩と情に基づくべきものである。太宗は、血縁が近くとも喪に服さない規定や、逆に縁遠い者への重すぎる礼の取り扱いに疑問を抱き、制度の再検討を命じた。... -
礼とは身分の尊卑でなく、制度の秩序にある
―『貞観政要』巻一より 🧭 心得 個々の敬意や感情よりも、国家の制度としての礼秩序が優先されるべきである。太宗は当初、皇子たちである親王に対し高官が下馬して拝礼するのを良しとしたが、魏徴はそれが法と故事に反し、制度上ふさわしくな... -
客人をもてなさずして、民を治められようか
―『貞観政要』巻一より 心得 遠方から公務でやってくる者には、敬意と礼節をもって迎えるべきである。太宗は、地方からの使者が宿を自費で借り、商人らと雑居している現状に対し、「このような待遇では、彼らは朝廷に不満を抱く」と憂い、専用の宿舎を建て... -
身分を越えて守るべきは礼
―『貞観政要』巻一より 🧭 心得 たとえ皇帝の娘であっても、嫁いだ先ではその家の礼に従うべきである。王珪は、「礼」に基づいて公主(皇女)に義父母への挨拶をさせ、私的な栄誉のためではなく、国家の礼節を体現することを重んじた。その姿... -
血筋よりも、今の徳と才を尊べ
―『貞観政要』巻一より 🧭 心得 名家とは、先祖の地位を誇る家ではなく、今を生きる人々の徳と才能によって称えられる家である。太宗は、古の家柄にかこつけて婚姻に高額の財を求める風潮を厳しく批判し、『氏族志』を編纂して実情に即した家... -
修行の道も、孝に背いてはならぬ
―『貞観政要』巻一より 🧭 心得 宗教の修行者であろうとも、孝を尽くすことは人の道として避けられない。太宗は、僧侶や道士が「俗を離れた存在」として父母の礼を軽んじる風潮に警鐘を鳴らし、たとえ修行者であっても、父母には礼を尽くすよ... -
哀悼に占いは要らぬ
―『貞観政要』巻一より 🧭 心得 人の死を悼む心に、占いの吉凶を持ち込むべきではない。太宗は、辰の日に哭く(な)いてはならないという迷信を理由に、弔問を拒む者が出ている風潮に強い懸念を示した。真の礼は心からの哀悼にあり、占いや迷... -
礼は親しき間にも順あり
―『貞観政要』巻一より 🧭 心得 どれほど親しい親族関係であっても、礼には守るべき順序がある。太宗は、自身の皇子が叔父に対して礼を尽くすのは当然としても、叔父がそれに返礼するのは礼の秩序を乱すことだとして改めさせた。親しき仲であ... -
礼はかたちに非ず、道理にあらねば改むべし
―『貞観政要』巻一より 🧭 心得 真の礼儀とは、かたちにこだわることではなく、道理にかなっていること。太宗は、自身の名に含まれる文字であっても、必要以上に避けるのは道理に反するとして、古の礼典に則るよう改めた。伝統に見えて実は後... -
歴史に虚飾を加えるな、事実こそが未来の教師である
君主の非も善も、記録されてこそ教訓となる 貞観十四年、太宗は国史の記録について房玄齢に問い、「なぜ歴代の皇帝は、自らの国史を閲覧できないのか」と疑問を呈した。これに対し房玄齢は、「史官が君主の善悪を余すところなく記すことで、君主に非道をさ...