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善意だけでは民はついてこない
「尽力しているつもりでも、人は心に従う──伝わる政治、伝わる経営を」 梁の恵王は、民を思って心を尽くして政治を行っていると語る。凶作があれば、余裕のある地域に民を移し、穀物も分配している。こうした配慮は、他国のどの王よりも優れていると自負し... -
独りの楽しみには、本当の喜びはない
「民と苦しみを共にせずして、どうして独り楽しめようか」──共感と責任が、真のリーダーの条件 孟子は、古典『書経』湯誓篇を引用しながら、孤独な支配と真の喜びの欠如を鋭く指摘する。 かつて悪王・桀(けつ)は、自らを太陽になぞらえて「自分が滅びる... -
人とともに楽しむ者こそ、真に楽しめる
「共に築き、共に喜ぶ──民と偕に楽しむ心が組織を育てる」 孟子は、前章で「賢者にして後これを楽しむ」と述べたが、今回はさらに一歩踏み込み、「賢者とは人とともに楽しむ者である」と説く。 彼は『詩経』の「霊台の篇」を引用し、周の文王がいかにして... -
賢くあってこそ、真の楽しみがある
「真に楽しむ力は、徳ある行いの上に生まれる」 ある日、梁の恵王が庭園の沼のほとりで、鴻(おおとり)や雁、大鹿や小鹿を眺めながら孟子に問うた。 「賢者もまた、こういうものを楽しむものか?」 それに対して孟子は、やわらかく、しかし明確に答える。... -
真の仁義は、人を見捨てず、忠を尽くす=徳治の実践原理
「利益よりも正道を──“仁義”が人と組織の信頼を築く」 孟子は、仁のある者は親を見捨てず、義のある者は君主をないがしろにしないと説いた。 「仁」とは人を思いやる心であり、「義」とは正しさを貫く行いである。 親を思いやる気持ちがある者が、親を見捨... -
利を先にすれば、やがて国が滅ぶ
「利を先にすれば奪い合い、義を先にすれば信頼が生まれる」 孟子は、王から始まり、大夫(だいふ)、士、庶民に至るまで、皆が「いかに利益を得るか」と口にするようでは、国はやがて滅びると警告した。 地位ある者が高い俸禄を受け取りながらも「義」を... -
利益を求める前に、仁義を貫け
「利益よりも道理──“仁義”が組織を持続させる礎となる」 孟子は、戦国の雄・梁の恵王に対して真っ向から「仁義」の重要性を説いた。 恵王は孟子に「遠路はるばる来たからには、我が国に何か利益をもたらしてくれるのだろう」と尋ねた。しかし孟子は即座に... -
感情を制する者こそ、国を制する
貞観十六年、太宗は自らの感情や方針に迷いを抱きつつ、魏徴に「私の内面にある驕りや甘さ、感情の過不足について、遠慮なく進言してほしい」と求めた。 これに対して魏徴は、「賢者も愚者も、欲望や喜怒の感情を抱く点では変わらない」と答えた。だが、**... -
勝ったあとの油断こそが最大の敗因
太宗は、「天下の平定は成し遂げたが、守り方を誤れば功績も長続きしない」と語った。その実例として、秦の始皇帝を挙げ、六国を併せた偉業をなしながら、その晩年には奢りや暴政により天下を失ったことを「戒め」とした。 太宗はまた、臣下たちに対し「公... -
有終の美を飾るには、初心と戒めを忘れないこと
魏徴は、貞観十三年、太宗の近年の姿勢に危機感を抱き、十の理由を挙げて諫言した。それは、単なる批判ではなく、真に太宗が「始めたことを終わらせるために必要な心得」を伝えるためであった。 かつての太宗は、倹約を重んじ、民を慈しみ、正道を貫こうと...