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出世よりも、筋と義に生きる
一、原文と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第七) 左太夫子、内蔵之助女房は小川舎人娘にて候。舎人浪人、綱茂公思召入これある由に付、御代になり候てより、左太夫へ、「是非々々嫁を返し申され候様に」と申したる人これあり候へども、「科もなきを返し申... -
磨かれた意地は、人を寄せ、道を切り拓く
一、原文と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第二) 意地は内にあると外にあるとの二つなり。外にも内にもなきものは役に立たず。たとへば刀の身の如く、切れ物を研ぎはしらかして鞘に納めて置き、自然には抜きて眉毛にかけ、拭いて納むるがよし。外にばかり... -
誠は刃より鋭く、人を従わせる
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文(抄) 松島の雲居和尚、夜中に山中を通られ候を、山賊出でて捕へ候。雲居申され候は、「我は近辺の者なり、逓参僧にてはなし。金銀は少しも持たず、欲しくば着物をやるべし。命は助けよ」と申され候に付、「さては... -
クセ者こそ、真に頼るべき人
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文(抄) 神右衛門申し候は、「曲者は頼もしきもの、頼もしきものは曲者なり。年来ためし覚えあり。頼もしきといふは、首尾よき時は入らず、人の落目になり、難儀する時節、くぐり入りて頼もしするが頼もしなり。左様... -
大難は、飛躍の浮力となる
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文 大難大変に逢ふても動転せぬといふは、まだしきなり。大変に逢ふては歓喜踊躍して勇み進むべきなり。一関越えたる所なり。「水増されば船高し」といふが如し。 現代語訳(逐語) 大きな困難や災難に遭っても動じな... -
災難こそ転機、祝いの言葉で風を変えよ
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文(抄) 不慮の事出来て動転する人に、笑止なる事などといへば、尚々気ふさがりて物の理も見えざるなり。左様の時、何もなげに、かへつてよき仕合せなどといひて、気を奪ふ位あり。それに取り付いて、格別の理も見ゆ... -
終わりこそが、すべてを物語る
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文 死際のよき者は曲者なり。例し多し。日頃、日を利きたる者の死場にて取乱すは、真の勇士にてなき事、知られたりと。 現代語訳(逐語) 死にぎわの良い者は、実にただ者ではない(=本物の人物である)。日常で立派... -
執着を捨てよ、覚悟が真の責任を生む
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文(抄) 自火の仕組、公私ともにかねて仕置くべき事なり。歴々お大名方にても、自火の時、外聞悪しき事これ有り候。肝要は諸道具一色も直し申さず、焼捨て候覚悟にて、粉骨火を消し、手に及ばざる時、丸焼仕り候へば... -
潔く負ける者は、ついには人の信を得る
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文(抄) 公事沙汰、または言ひ募ることなどに、早く負けて見事な負けがあるものなり。相撲の様なるものなり。勝ちたがりて、きたな勝ちするは、負けたるには劣るなり。多分きたな負けになるものなりと。上り屋敷の事... -
捨てることで得る 〜 無欲・無執着の働き方
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文(抄) 奉公人に疵の付く事一つあり。富貴になりたがる事なり。逼迫にさへあれば疵は付かぬなり。また何某は利口者なるが、人の仕事の非が目にかかる生付なり。この位にては立ちかぬるものなり。世間は非だらけと、...