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命をかけて諫める覚悟が、心を変える
一、原文と現代語逐語訳 原文抜粋:三左衛門申上げ候は、「こればかりにて候はば仰せにも従ひ申すべく候へども、お心直り遊ばされず候はば、以後まで斯くの如き事、絶え申すまじく候。最早よき頃まで生き申し候間、唯今お手打に逢ひ申すべく候。ながらへ候... -
正しさより“和”をもって諫めよ
一、原文と逐語現代語訳 原文:諫言の仕様が第一なり。何もかもお揃ひなされ候様にと存じ候て申上げ候へば、お用ひなされず、かへつて害になるなり。お慰みの事などは如何様に遊ばされ候ても苦しからず候。下々安穏に御座候様に、御家中のもの御奉公に進み... -
正論の押しつけは、忠義にあらず
一、原文と現代語訳(逐語) 原文:よき事も過ぐるは悪し。談義・説法・教訓なども、言ひ過ごせば、害になり候となり。 (聞書第二) 現代語訳:どんなによいことでも、やりすぎればかえって害となる。議論・説... -
怒りの連鎖を断つのが、真の忠義
一、原文の要旨と現代語訳(要約) この逸話では、酔った上司の無礼な振る舞いから生じた誤解と対立を、冷静な第三者(語り手=山本常朝)が巧みに仲裁し、ついには両者を和解、さらには無二の親友にまで導いた実例が語られています。 物語の流れ 源蔵が酔... -
人は備え、信は分かち合いに宿る
一、原文の引用と逐語訳 侍は人を持つに極り候。なにほど御用に立つべくと存じ候ても、一人武辺はされぬものなり。金銀は人に借りてもあるものなり、人は俄になきものなり。かねてよく、人を懇に扶持すべきなり。人を持つ事は、我が口に物を食ふてはならず... -
異なる力を束ねてこそ、真のリーダー
一、原文の引用と逐語訳 「光茂公のお側に召使はれ候様に」と候て御隠居の時、百武伊織・生野織部・岩村新右衛門、この三人遣はされ候。「伊織は物をよく言ひ砕く者なり。織部は情強く、雨露きらはず勤むる者なり。新右衛門は物に念を入れ、落ちもなく勤む... -
光を浴びすぎぬ才覚が、家を保つ
一、原文の引用と逐語訳 若殿様御器量に候へば、諸人褒め立て、お大名・お旗本もお褒め、お出入の衆中、殿へ追従にも褒め申し候故、多分、中隔り出来申し候。若殿は随分引取り、善悪の沙汰なき様に、入めなるが順熟にて、家長久の基に候事。 現代語訳(要... -
真に強き者は、怒りを超えて人を見る
一、原文の要点と現代語訳(逐語) 坊主の嘘に怒り、拷問を命じるように見えた直茂公だったが、実はその嘘を最初から見抜いていた。家臣・藤島生益は、主君にだまされたと感じて怒るが、主君はこう返す: 「その方は本当だと思ったから怒っているのだ。わ... -
報いを求めず、ただ尽くす。それが真の忠義
一、原文の引用と逐語訳 主君に忠節、朋輩に懇切など、不部にしてすれば、却って仇になることあり。この心を信玄の壁書に、『忠節述懐・述懐謀叛・謀叛没落』と書き記され候。御褒美これなき時、少しも恨み奉らず、いよいよ忠節を尽くすべし。頼母しをして... -
耳を閉ざせば、真実も去る
一、原文の引用と逐語訳 人の意見を申す時は、役に立たぬ事にても、恭しと深く請合ひ申すべきなり。左様に仕らず候へば、重ねて見付け聞付けたる事をもいはぬものなり。なにとぞ心安く意見をいひよき様に仕なして、人に云はするがよきなり。 現代語訳(逐...