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夢に溺れず、夢から覚めよ
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第二より) 夢の世とは、よき見立なり。悪夢など見たる時、早く覚めよかしと思ひ、夢にてあれかしなどと思ふ事あり。今日もそれに少しも違はぬなりと。 現代語訳(逐語) 「この世は夢」という見立ては、実... -
迷うなら斬れ、曖昧は命を曇らす
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第一より) 志田吉之助、生きても死にてものこらぬ事ならば、生きたがましと申し候。志田は曲者にて、戯れに申したる事にて候を、生立者ども聞き誤り、武士の疵に成る事を申すべくやと存じ候。この追句に、... -
遅きに実あり、志に強さあり
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第一より) 若き内に立身して御用に立つは、のうぢなきものなり。五十ばかりより、そろそろ仕上げたるがよきなり。その内は諸人の目に立身遅きと思ふほどなるが、のうぢあるなり。また身上崩しても、志ある... -
晩成にして、大器たり
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第一より) 大器は晩成といふ事あり。二十年三十年して仕果する事にならでは、大功はなきものなり。奉公も急ぐ心ある時、我が役の外に推参し、若巧者といはれ、乗気さし、がさつに見え、出来したて功者振り... -
越されて揺るるな、黙して立て
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第二より) 謂はれ無く朋輩に席を越され、居肩下りたる時、少しも心にかけず、奉公する人あり。またそれを腑甲斐なきと云ひて愚意を申し、引取などするもあり。いかがと申し候へば、それは時により事による... -
志の果てに、無を知る
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第六より) 鍋島舎人助草履取十四歳になり候が、諫早家へお供致し…石見殿中間を斬殺し候仕方よく候故、お助けなされ候。…いざ天下を取るべしと思立ち、夜昼工夫し篤と手に入り候。…しかと手に入り候へども、... -
攻めの四十、引きの五十
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文(聞書第一より) 四十より内は強みたるがよし。五十に及ぶ頃より、おとなしく成りたるが相応なり。 現代語訳(逐語) 四十歳未満のうちは、勢いよく、気力にあふれた行動が望ましい。 五十歳に近づく頃からは、穏や... -
年を重ねても、気力を手放すな
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文(聞書第一より) 四十歳より内は、知恵分別をのけ、強み過ぐる程がよし。人により、身の程により、四十過ぎても、強みなければ響きなきものなり。 現代語訳(逐語) 四十歳未満のうちは、知恵や分別よりも、とにか... -
時代が下れば、志ある者が立つ
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第二より) 皆人気短か故に、大事をなさず仕損ずる事あり。何時までも何時までもとさへ思ヘば、しかも早く成るものなり。時節がふり来るものなり。今十五年先を考へて見給へ。さても世間違ふべし。…今時御用... -
日々、死身となりて恥を遠ざけよ
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第一・第二より) 五、六十年以前までの士は、毎朝、行水・月代、髪に香をとめ、手足の爪を切つて軽石にて櫂り、こがね草にて磨き、解怠なく身元を嗜み…今日討死、今日討死と必死の覚悟を極め、もし無嗜みに...