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すべての存在は、自らの場所へと還る


目次

📖引用原文(日本語訳)

一〇*
鹿の帰るところは原野の奥であり、
鳥の帰るところは虚空であり、
分別ある人々の帰するところはことわり(=義)であり、
もろもろの真人の帰するところは安らぎ(ニルヴァーナ)である。


🔍逐語解釈と用語の意味

表現解釈
鹿の帰るところは原野の奥鹿は静かな自然に帰る=本性に従って静寂を求める動物の姿。
鳥の帰るところは虚空鳥は空に向かって飛び立ち、やがて見えなくなる。自由・高次性の象徴。
分別ある人の帰るところはことわり(義)知性を持ち、理を理解する人は「義=真理・道理・倫理」に帰依する。
真人(しんじん)の帰るところは安らぎ(ニルヴァーナ)悟りを得た聖者(阿羅漢)は最終的に「完全なる涅槃」に至る。

🧘‍♂️全体の現代語訳(まとめ)

鹿が原野の奥に帰るように、鳥が大空に消えていくように、
分別をもつ者は道理と正義(義)に向かい、
真に目覚めた者は、煩悩も境界もない「安らぎ(ニルヴァーナ)」へと還っていく。

この世界のすべての存在は、それぞれにふさわしい「帰るべきところ」を持っている。
そして、人間もまた、その精神の成熟に応じて「真理」や「解脱」へと進んでいくことができる。


💡解釈と現代的意義

この句は、「帰る場所=本質的な傾向性」を詩的に描いています。

  • 鹿がにぎやかな街ではなく「静けさの原野」を好むように、
  • 鳥が地面ではなく「広い空」に還っていくように、
  • 人もまた、自分にふさわしい精神的目的地を持つ

分別(理性)ある人は「ことわり=理性・倫理・真実」へと帰る。
そして、真理に目覚めた聖者は、安らぎ(ニルヴァーナ)に到る。

この比喩は、「あなたはどこへ向かっているか?」という問いを静かに私たちに投げかけます。
帰る先は、自分の内なる性質・意志・修養によって決まるのです。


💼ビジネスにおける適用

観点適用内容
自己理解とキャリア形成自分が「本質的に目指している場所」はどこか? ポジションや年収よりも、「理想と一致しているか」で帰属を選ぶべき。
組織文化と価値観の一致義(ことわり)を大切にする人が、不正・虚飾の文化に長く留まることはできない。本質に還る力が働く。
リーダーとしての方向性チームの最終的な「帰る先」は、利益なのか、価値なのか、誠実さなのかを問う。「安らぎ」に向かう組織文化は持続性が高い。
引退・人生の後半の設計積み上げ型の成功だけでなく、「心がどこへ向かうべきか」に焦点をあてることで、より深い納得感を持つライフステージへと進める。

✅心得まとめ

「人は、自らの心の成熟に応じた場所へと還っていく」
鹿は静けさを求めて原野へ。鳥は自由を求めて空へ。
理を知る者は義へ。悟った者は安らぎへ。

この句は、「あなたは、どこへ向かっているのか」という問いであり、
同時に、「どこに帰りたいのか」という自問でもあります。

真理に向かって歩む者は、やがて安らぎへと至る。
それが、人間にとってもっとも自然で、もっとも尊い帰着点です。


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