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経営計画で明らかになる資金運用の全体像

N社で経営計画の立案をサポートした際のエピソードは、資金運用計画の重要性を象徴する事例です。

このN社は、長期間にわたって高収益を維持してきた優良企業であり、経営計画も非常に意欲的な内容で、積極的な設備投資を前提としていました。

計画が進む中、最後に資金運用計画の策定に取り掛かりました。前期利益金の処分、当期予定納税、長期借入金の返済など、必要な資金項目を一つひとつ確認していくと、社長はこれらの金額が自分の想定を遥かに超えていることに驚きを隠せませんでした。

目次

資金の流出タイミングと全体像の把握

これらの資金が一度に必要になるわけではありません。

たとえば、法人税は分納が可能であり、配当金や役員賞与は上半期、予定納税は下半期に支払われるため、資金の流出は年間を通じて分散されます。

しかし、普段は分散しているために見えづらかったこれらの金額が、資金運用計画表により1年分としてまとめて表示されることで、初めて全体像が明らかになったのです。

これを目の当たりにした社長は、こう述べました。「全く驚いた。こんなに多くの資金が必要だとは夢にも思わなかった。これまで大きな利益を出してきたのに、資金繰りがなぜ楽にならなかったのか、その理由もよくわかった。今年の設備投資はもっと控えめにしたいと思う」。

設備投資を検討する際の注意点

社長の発言を受け、私は次のように提案しました。「社長、不急不要の設備投資であれば控えるべきですが、社長にはそれ相応の構想があるはずです。資金運用の全体像を踏まえた上で、改めて必要性を検討していただきたいと思います」。

資金運用を無視して過大な設備投資を行うのは問題ですが、一方で、必要な資金の規模に驚いて本当に必要な設備投資を控えることも誤った判断につながります。重要なのは、社長の構想をもとに資金の流れをしっかりと検討し、計画を立てることです。

資金運用計画の本質

資金運用計画の本質は、使途と資金源のバランスを慎重に見極め、適切な判断を下すことにあります。

このバランスが明確になることで、企業の経営判断がより合理的かつ安定的になります。経営者が全体像を把握し、正確な判断を下すためには、資金運用計画が欠かせないのです。

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