目次
引用原文(日本語訳)
それから、かの境地を探求すべきである。
そこに達すれば、再び回帰することのない境地を。
「それから太古の活動が流出したところの、かの本初のプルシャに私は帰依する」〔と考えて〕。
(『バガヴァッド・ギーター』第15章 第4節)
逐語訳
(アシュヴァッタ樹を無執着の斧で断ち切った後は、)
もう再び輪廻に戻ることのない、かの永遠なる境地(パラーム・ガティ)を探し求めるべきである。
そして、「万物の行為が初めに流れ出た、あの根源的な存在(プルシャ)に、私は帰依する」と心に定めることが肝要である。
用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
境地(パラーム・ガティ) | 究極の到達点。輪廻(生と死)の繰り返しを超えた不変の境地。 |
再び回帰しない | 二度と生死のサイクルに戻ることがない解脱の状態。 |
プルシャ | 「人格的霊」「根本的存在」。すべての根源たる意識そのもの。神または至高の自己を意味する。 |
太古の活動 | 宇宙やカルマの流れ・現象世界が始まった根本原理(創造の力) |
帰依する(プラパッディ) | 自我を手放し、自己を根源たる存在に委ねる精神状態。 |
全体現代語訳(まとめ)
アシュヴァッタ樹(世界の迷妄構造)を断ち切った者は、
輪廻を越えた不変の境地を探し求めるべきである。
その求道の中で、「宇宙のあらゆる活動が発した根源的存在、プルシャに私はすべてを委ねる」
という心構えを持つことが真の帰依であり、悟りの道を照らす指針となる。
解釈と現代的意義
この節は、迷い(執着)を断ち切ったあとに必要な“方向性”を示しています。
単に否定して終わるのではなく、「何に向かうか」「何に根ざすか」を明確にすることが重要だという教えです。
人は迷いから抜け出したあと、虚無に落ちるか、真の価値に還るかのどちらかになります。
だからこそ、「本初のプルシャ=不変の本質・価値観・原点」に立ち返ることが、
人生やビジネスの指針となるのです。
ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
判断と価値の源を持つ | ビジネスでも意思決定の“根源”となる信念・理念がなければ、流されるだけになる。 |
本質回帰 | 混乱・破綻・迷いから脱したあと、「何のためにこの事業をしているのか」「誰のためか」に立ち返ることが重要。 |
自我を超える姿勢 | 自分の名声・利益ではなく、「より大きな価値」に身を預ける姿勢が、長期的信頼と影響力を生む。 |
革新と回帰の両立 | 変革(枝を断つ)のあとには、常に原点(プルシャ)への回帰が必要。軸なき変化は崩壊する。 |
心得まとめ
「切ったあとは、還れ。本質を知らずに進む者は、再び迷う」
迷いを断ち切ったあと、どこへ向かうかが定まっていなければ、人は再び過去の迷路に戻ってしまう。
だからこそ、全ての活動が流れ出た「根源(プルシャ)」に還り、そこに軸を持ち続けることが、真に自由で意味ある人生と事業をもたらすのである。
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