決算整理とは、企業が決算を行う際に、財務諸表を正確に作成するために、期末時点の取引を調整・記録する会計処理のことです。日々の記録だけでは反映されない取引や、期間の対応関係を正確に示すために行われます。
目次
決算整理の目的
正確な財務諸表の作成
- 資産、負債、収益、費用の状況を正確に反映させる。
期間損益の適正化
- 当期の収益と費用を適切に対応させ、正確な利益を計算する。
税務申告の準備
- 法令に基づいた正しい税額を算出するための基礎を作る。
決算整理の流れ
資料収集
- 売掛金、買掛金、棚卸商品、固定資産などの残高を確認。
試算表の作成
- 決算整理前の試算表を作成し、全体の数値を把握。
調整仕訳の入力
- 上記の決算整理項目を仕訳として入力。
決算整理後の試算表作成
- 調整後の試算表を作成して再確認。
財務諸表の作成
- 貸借対照表、損益計算書などを作成。
決算整理のメリット
正確な財務諸表作成
- 期間損益を適切に計算し、正確な財務情報を提供します。
税務リスクの軽減
- 法令に基づく正しい税額計算が行えるため、税務調査への対応がスムーズになります。
経営判断の基礎
- 正確な決算データを基に、次期の経営計画や意思決定が行えます。
決算整理時の注意点
資料の整合性
- 各種帳簿や伝票、実地棚卸の結果が一致しているか確認します。
仕訳漏れの防止
- 未収収益や未払費用など、漏れが発生しやすい項目に注意。
適切な評価基準の適用
- 棚卸資産や固定資産の評価方法を統一し、適切に適用します。
税法遵守
- 最新の税法を確認し、引当金や減価償却費の計算が適切かを確認します。
3級で学習する決算整理項目
- 現金過不足の処理
- 帳簿残高と実際有高が一致しない場合の調整。原因が判明した場合には正しい科目に振り替えます。
- 当座借越勘定への振り替え
- 当座預金のマイナス残高を「当座借越勘定」(負債)に振り替えます。
- 貯蔵品勘定への振り替え
- 未使用の消耗品や切手などを「貯蔵品」(資産)に振り替えます。
- 貸倒引当金の設定
- 売掛金や受取手形の一部が回収不能になる可能性に備えて「貸倒引当金」(負債)を計上します。
- 有形固定資産の減価償却
- 建物や備品などの固定資産の使用による価値の減少を「減価償却費」(費用)として計上します。
- 売上原価の算定
- 売上高に対応する原価を計算するため、期首商品棚卸高、当期仕入額、期末商品棚卸高を用いて「売上原価」を算定します。
- 消費税の納付額の計算
- 「仮受消費税」(負債)から「仮払消費税」(資産)を差し引いて納付すべき消費税額を算定します。
- 費用・収益の前払い・前受けと未払い・未収
- 未経過分や未処理分の費用・収益を計上し、適切な会計期間に配分します(例: 前払費用、未収収益)。
- 法人税等の計上
- 当期の所得に基づいて法人税や住民税を計算し、未払い分を「未払法人税等」(負債)として計上します。
次のステップ
各項目の具体的な処理方法を確認していきましょう。これにより、決算整理の流れと処理方法を体系的に理解できます。
まとめ
決算整理は、正確な財務諸表を作成し、税務申告や経営判断を支えるための重要なプロセスです。漏れのない仕訳と適切な評価基準を用いて、収益や費用を正確に計上することで、企業の財務健全性を確保します。定期的な確認と適切な管理体制を構築することで、効率的で正確な決算整理が可能になります。
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