企業経営では、売上を伸ばすことに注力するあまり、利益目標が後回しになるケースが少なくありません。しかし、最も重要なのは「経常利益」を確保することです。
利益は企業が存続し続けるための基盤であり、将来のリスクに対する備えとなります。本記事では、経常利益を軸に経営計画を立てる方法と、その具体的な考え方について詳しく解説します。
目指すべきは、利益を中心に据えた逆算型の経営戦略です。
経営は「逆算思考」が鍵を握る
あらゆる物事を計画する際、逆算で考えることは成功への近道です。例えば、大学受験では試験日を基準に計画を立てれば、勉強の開始時期や方法を具体的に決めることができます。同様に、結婚式の日取りが決まれば、それに向けて席次や招待状の準備をスムーズに進められます。
経営も同じです。過去の結果を基に計算するのではなく、未来の目標から逆算する「未来計算」を取り入れるべきです。まず来期の経常利益目標を明確にし、それを達成するための具体的な手段を逆算して計画を立てます。例えば、必要な売上や経費を順に逆算することで、全体の経営計画が見えてきます。
多くの経営者は「売上」を起点に計画を立てますが、私はこれに反対です。まずは経常利益を先に決め、それを基準にして必要な売上や経費を算出していくべきだと考えています。
経常利益の目標は「数字を早く決める」ことが大切
では、具体的に経常利益の目標額をどう設定すればよいのでしょうか。実は、この数字に明確な根拠や正当性を求める必要はありません。まずは直感や大まかな感覚で決めてしまい、必要があれば後から調整すれば良いのです。
例えば「利益額は2000万円」と決めることに抵抗がある場合、最初は「ゼロ」でも構いません。損益分岐点として最低ラインを設定しておくことが重要です。ほとんどの経営者は詳細な数字には詳しくなくても、漠然とした目標額を持っているものです。赤字の場合は利益をゼロとして設定し、そこから徐々に目標を上方修正していくプロセスでも問題ありません。
重要なのは、社長自身が「いくら欲しい」と決断することです。それが目標の出発点となり、経営計画の土台となります。
経常利益目標を設定する
- 社員1人当たり100〜150万円を基準に考える。
- 過去2〜3期の実績数字が黒字であれば推移から見込む
- 過去2〜3期の実績数字が赤字であれば赤字累積を埋める
- 年間の返済額から考える
それでも目標額の設定に迷う場合は、社員一人当たりの利益を基準に考える方法があります。例えば、一人当たり100~150万円の経常利益を目安とし、全体の利益目標を算出するのです。
過去の業績が黒字であれば、その推移を参考に目標を設定できます。
反対に、赤字であれば累積赤字を埋める額を目安にするのが良いでしょう。また、年間の返済額を基準に目標を決める方法も現実的です。
ただし、達成率より額を重視するべきなので、前向きな数字を設定することが重要です。

経常利益は会社の生命線
経常利益は、企業が存続し続けるための基盤となる数字です。利益は、予期せぬ困難に直面した際に企業を守る力となります。例えば、過当競争や不況、資金繰りの悪化、さらには天災などの危機的状況を乗り越えるためには、十分な利益が必要です。
経営者として、経常利益が持つ重要性を常に意識し、これを基準に経営計画を立てることが、企業の持続的な成長と安定を支える鍵となります。
まとめ
経営計画を立てる際には、売上ではなく経常利益を最優先に決めることが成功の鍵です。経常利益を起点に計画を逆算することで、必要な売上や経費が明確になり、効率的な経営が可能になります。また、利益目標は直感的に早く決め、不都合が生じた際に修正する柔軟性を持つべきです。
さらに、社員一人当たりの利益額や過去の実績を参考にしながら、現実的かつ持続可能な利益目標を設定することが重要です。経常利益は単なる数字ではなく、企業の未来を守るための生命線です。利益を重視した経営戦略を実践し、変化する市場環境にも対応できる強い企業を目指しましょう。
まずは経常利益の目標を決める
経営は常に「逆算」で考える
物事は逆算したほうがうまくいきます。大学に入るには、試験日から逆算する。そうすれば、いつから、どのように勉強をはじめればいいか決まります。結婚するときも同じです。結婚式の日程が決まれば、席次を決める日や、案内状を出す日が決まります。
経営も逆算が基本。過去計算ではなく、未来計算で考える。
最初に結果(来期の利益目標)を決め、結果を得るための実現手段を逆算して決めていきます。経常利益はいくら、そのためには経費はいくらで売上はいくらかを逆算していくのが経営計画です。
経営計画の数字を作成する際、多くの社長が「売上」を先に決めます。最初の来期の売上を決め、最後に経常利益の数字を出す。
私は違います。経常利益を一番先に決定します。その後P/Lを順番に遡っていけば必要な売上がわかります。
今期の総売上の対前年比5%増、10%増と売上を設定し、それに基づいて仕入れはいくらで、粗利益はいくらで給与は、、経費は、、、と計算していくと利益がなかなかでません。
経常利益の数字に根拠はいらない
ではどのようにして経常利益の数字を決めたらいいでしょうか。数字は適当に決めればいい。数字は早く決めるのが正しいのであって、根拠や妥当性は二の次です。
だったらゼロにしましょうというと慌てて2000万円は、、と決める。
ほとんどの経営者は、細かな数字を把握していないだけで、大まかな数字を持っている。赤字の会社であれば経常利益は0でもいい。ゼロは損益分岐点。
根拠も正当性もなくていい。社長が「いくらほしい」と決めればそれが目標額になります。とりあえず数字を決めて、不都合が生じてから修正すればいいだけのこと。
一人当たり経常利益から計画する
それでも経常利益の額がわからないという社長のためにヒント。
経常利益は、会社が存続するために絶対不可欠な利益です。利益が未来の予期せぬ出来事から会社を守ってくれます。
過当競争や不況、資金不足、天災などの危機と直面した時に利益があってこそ乗り越えられるという点で大事な数字であることを社長は肝に銘じておくべき。
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