経常利益率(Ordinary Profit Margin)とは、売上高に占める経常利益の割合を示す指標で、企業の本業と本業以外の収益性を総合的に評価するために用いられます。経常利益率は、企業の収益構造の安定性や効率性を測る重要な指標です。
経常利益率の計算式
[
経常利益率 = \frac{\text{経常利益}}{\text{売上高}} \times 100
]
- 経常利益:営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いたもの。
- 売上高:商品やサービスの販売による総収入。
経常利益率の例
例1:
- 売上高:1,000万円
- 経常利益:150万円
[
経常利益率 = \frac{150万円}{1,000万円} \times 100 = 15\%
]
例2:
- 売上高:500万円
- 経常利益:20万円
[
経常利益率 = \frac{20万円}{500万円} \times 100 = 4\%
]
経常利益率の目安
経常利益率は業種や企業規模によって異なります。以下は一般的な目安です:
- 小売業:3%~10%
- 製造業:5%~15%
- サービス業:10%~20%
- IT・ソフトウェア業界:15%以上
経常利益率の特徴
- 本業と財務活動の総合的な収益性を測定
- 営業利益だけでなく、営業外損益の影響も含めた収益性を評価できます。
- 企業の安定性を示す指標
- 経常利益率が高いほど、本業と財務活動が安定していることを示します。
- 業界比較が可能
- 同業他社や業界平均と比較することで、競争力を測れます。
経常利益率が高い場合の特徴
- 本業が好調
- 営業利益率が高く、安定した収益基盤がある。
- 財務健全性が高い
- 営業外費用(支払利息など)が少なく、営業外収益(受取利息、配当金など)が豊富。
- 資産運用が成功
- 投資や為替など、本業以外の活動で利益を得ている。
経常利益率が低い場合の課題
- 本業の収益力不足
- 営業利益率が低く、本業での利益が十分でない。
- 財務リスクの増加
- 借入金が多く、支払利息が経常利益を圧迫している。
- 営業外損失の増加
- 投資の失敗や為替差損などで営業外費用が増加。
経常利益率を向上させる方法
1. 本業の強化
- 売上増加:新規顧客の獲得、単価アップ、高付加価値商品の開発。
- コスト削減:原材料費や製造工程の効率化。
2. 営業外収益の向上
- 投資活動の見直し:高リスク資産から安定的な収益を得られる資産に切り替え。
- 余剰資金の活用:利率の良い資産への投資。
3. 営業外費用の削減
- 借入金の見直し:低金利の融資への借り換え。
- 為替リスクの管理:為替予約やデリバティブを活用。
4. 経費の適正化
- 販管費の削減:広告宣伝費や管理部門のコストを見直し。
- 固定費の削減:オフィス賃料や間接費の最適化。
経常利益率の関連指標
1. 営業利益率
本業の収益性を示します。
[
営業利益率 = \frac{\text{営業利益}}{\text{売上高}} \times 100
]
2. 純利益率
最終的な利益(純利益)が売上高に占める割合を示します。
[
純利益率 = \frac{\text{純利益}}{\text{売上高}} \times 100
]
3. 財務レバレッジ比率
営業利益に対する営業外費用の比率を測定します。
[
財務レバレッジ比率 = \frac{\text{営業外費用}}{\text{営業利益}} \times 100
]
経常利益率の成功事例と課題例
成功事例:
- 企業A:投資収益の活用
- 余剰資金を配当利回りの高い株式に投資し、安定した営業外収益を確保。
- 経常利益率が10%から15%に向上。
課題例:
- 企業B:借入金の負担増
- 設備投資のために多額の借入金を抱え、支払利息が増加。
- 経常利益率が5%から2%に低下。
経常利益率の注意点
- 業界特性を考慮
- 経常利益率は業界や企業規模によって異なるため、同業他社との比較が重要です。
- 営業外損益の影響に注意
- 一時的な営業外収益や費用に依存した経常利益率の変動に注意が必要です。
- 短期的な施策に依存しない
- 一時的なコスト削減や投資収益だけでなく、持続可能な本業の収益力を高めることが重要です。
まとめ
経常利益率は、企業の本業と本業以外の収益性を総合的に評価するための重要な指標です。営業利益率だけでは見えない財務活動の影響を考慮できるため、企業の安定性や効率性を測るために役立ちます。
経常利益率を向上させるには、本業の収益力強化と営業外収益の拡大、営業外費用の削減をバランス良く進めることが必要です。持続可能な収益構造を構築することで、競争力を高めるとともに長期的な成長を実現しましょう。
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