目次
■引用原文(日本語訳)
「私は悪魔のうちのプラフラーダである。駆り立てるもののうちのカーラ(時間)である。私は獣類のうちの獣王(獅子)である。鳥類のうちのガルダ鳥である。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第30節)
■逐語訳(一文ずつ)
- prahlādaś cāsmi daityānāṁ
→ 私は悪魔族(ダイティヤ)のうちのプラフラーダである。 - kālaḥ kalayatām aham
→ 駆り立てるもの(時を計る者)のうちの「時間(カーラ)」である。 - mṛgāṇāṁ ca mṛgendro ’ham
→ 獣類のうちでは私は獣王(ライオン)である。 - vainateyaś ca pakṣiṇām
→ 鳥類のうちではヴィナターの子=ガルダ鳥である。
■用語解説
- プラフラーダ(Prahlāda):悪魔族に生まれながらも、ヴィシュヌ信仰に生きた聖なる少年。ヒラニヤカシプの子。真理への絶対信頼の象徴。
- カーラ(Kāla):時間そのもの。万物を駆動・老化・破壊する「時間」の原理。神の力の一形態。
- 獣王(mṛgendra):獅子(ライオン)を指し、動物界の王として象徴される。
- ガルダ(Garuḍa):ヴィシュヌ神の乗り物である神鳥。強さ・速度・霊的守護の象徴。
■全体の現代語訳(まとめ)
「私は悪魔の中で聖なる信仰を守ったプラフラーダであり、
すべてを動かし消尽させる『時間』そのものである。
また、獣の中の王であるライオンであり、
鳥の中ではヴィシュヌの使いである神鳥ガルダである。」
■解釈と現代的意義
この節では、「力・破壊・秩序・守護」の象徴が並んでいます。
- プラフラーダ:敵対する環境の中でも信仰を失わない者。誠の力。
- カーラ(時間):全てを駆動し、腐敗させ、終わらせる力。絶対的な支配者。
- ライオン:威厳・リーダーシップ・支配の象徴。
- ガルダ:神聖を守り、迅速に動く神的メッセンジャー。
→ここには、外的な力と内的信念の両面を極めた姿が描かれています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
精神的信念 | プラフラーダ=不利な環境においても、企業理念・ミッションを守る信仰の力 |
時間の力 | カーラ=時間管理とタイミングの重要性、時間が全てを裁くという認識 |
統率力 | ライオン=リーダーの威厳と率先力、野心と堂々たる存在感 |
スピードと守護 | ガルダ=迅速な判断と行動、チームや顧客を守るための機動力 |
■心得まとめ
「信念を持ち、時間を制し、王として臨み、守護者として動け」
信仰・時間・支配・守護という四象がそろってこそ、
混沌の中で崩れず、進み続けるリーダーとなれる。
コメント