目次
■引用原文(日本語訳)
一四*
聡明な人は、瞬時のあいだ賢者たちに仕えても、ただちに真理をはっきりと知る。
舌が汁の味をはっきりと知るように。
――『ダンマパダ』
■逐語訳(意訳を含む)
- 聡明な人(鋭い理解力を持つ者)は、
- たとえごく短い時間、賢者と関わるだけでも、
- すぐに真理の本質を悟ることができる。
- それはちょうど、舌がスープに触れるだけでその味を知るようなものだ。
■用語解説
- 聡明な人(ヴィニータ・プルシャ):謙虚さ・洞察力・吸収力・心の柔らかさを備えた人。
- 瞬時(カラマッタ):時間の長さではなく、“深い集中と真摯な姿勢”によって質が決まる。
- 真理(ダンマ):人生の道理、行動の指針となる普遍的な智慧。
- 舌と汁の関係:単なる接触ではなく、「感受する器官が働くこと」の象徴。
■全体の現代語訳(まとめ)
聡明な者は、ほんの一瞬でも賢者の言葉や態度に触れることで、即座に真理の本質を掴む。それは、舌がスープに触れるだけでその味を感じ取れるように、感受性と理解力が働いているからである。
学びとは、時間の長さではなく、心の深さと開きによって決まる。
■解釈と現代的意義
この章句は、学びの“質”に関する仏教的な核心を突いています。
長い時間や多くの教材があっても、「学ぶ姿勢」がなければ無意味になってしまう。反対に、ほんの一言、一瞬の出会いでも、感受性と洞察があれば、そこから多くを学ぶことができる。
つまり、知識の多寡ではなく、“心の準備”が学びを決定づけるのです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
フィードバックの受け取り方 | 同じアドバイスでも、心が開かれている人はすぐに意味を理解し、行動に移せる。 |
リーダーシップ開発 | 謙虚で学びの感度が高い人は、短い時間でも優れた師から核心を吸収できる。 |
社内研修・指導 | 一方的な“教えの時間”よりも、本人の心の準備・意識のあり方を整えることが成果を左右する。 |
対話力と感受性 | クライアントや上司のひと言の真意を読み取り、即座に動ける人が信頼を得やすい。 |
■心得まとめ(感興のことば)
「学びは時間の長さではなく、心の深さで決まる」
一瞬の出会いでも、真に学ぶ気持ちがあれば、心に真理は沁み込む。
舌が一滴の味で全体を知るように、心を澄ませば、少しの言葉が人生を変えることもある。
だからこそ、常に心を開き、聴く耳を持ち、学ぶ目を養おう。
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