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📖 引用原文(日本語訳)
「人がもしも善または悪の行ないをなすならば、かれは自分のした一つ一つの業の相続者となる。実に業は滅びないからである。」
🔍 逐語訳(意訳)
「もし人が善い行い、または悪い行いをなしたならば、
その者はそれぞれの行為の結果を自ら受け継ぐことになる。
なぜなら、行為(業)は決して消え失せることがないからである。」
🧘 用語解説
- 善または悪の行ない(クサラ/アクサラ):
他者を益する思いやりや慈悲に基づく行為=善。自己中心や欲望・憎しみに基づく行為=悪。 - 業(カルマ):
思考・言葉・行動の積み重ね。それらは因果律により必ず結果をもたらす。 - 相続者(ダヤーダ):
行為の結果は、他人ではなく自分自身が必ず受け継ぐという教え。他者の業を代わって担うことはできない。 - 業は滅びない(アチッヤン・カンマ):
一度起こした行為は、その結果が現れるまで潜在的に残り、時を選ばず熟す。
🪷 全体の現代語訳(まとめ)
人はその生涯において、自分自身の行為の記録を積み重ねている。
善い行いをすれば善果を、悪い行いをすれば悪果を、
自分以外の誰でもなく自分自身がそれを引き受け、受け取る。
それが、業(カルマ)という人生の真理である。
どんなに時を経ても、どんなに忘れても、
その行為の結果は決して消えることはない。
🏛 解釈と現代的意義
この節は、「行為の責任と帰結は自分が引き受ける」という自己責任の原理を強く説いています。
現代社会においても、
「誰かのせい」「仕方なかった」「みんなやってる」という他責の態度が横行しがちですが、
最後に自分の人生を形づくるのは、他人ではなく自分自身の行いです。
この真理を受け入れるとき、人は主体的な倫理と覚悟を持つことができます。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実践的応用 |
---|---|
長期的信頼の蓄積 | 小さな善意や誠実な対応が積み重なり、大きな信頼資産となる。善業は組織の未来の礎。 |
隠れた不正のリスク | 今はバレなくても、不正やごまかしの業はいつか必ず発覚し、信頼を損なう。悪業は将来の損失として熟す。 |
成果と人格の一致 | 成功だけを追うのではなく、どのように成功したかというプロセスが、真の評価となる。 |
育成と教育 | 「どんな行いも、自分に返ってくる」という因果の意識を若手に伝えることが、倫理ある人材の育成につながる。 |
🧭 心得まとめ
「人は財産ではなく、行為を相続して生きている」
誰かの目を気にするのではなく、
**「これは後の自分にどう返ってくるか」**という観点で、
一つ一つの行動を選び取ること。
善悪を選ぶのは誰かではない。
そして、それを受け取るのもまた、誰でもない――自分自身である。
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