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一語が魂を変え、千語でも届かぬことがある


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■引用原文(日本語訳)

一九
賢者の説いた、意義ある一つの句でも、目的を達成するものであるが、しかし愚者にとっては、仏の説かれたすべてのことでも、目的を達成するには至らないであろう。
――『ダンマパダ』


■逐語訳(意訳を含む)

  • 意義ある、深い真理を含んだ一つの言葉(句)であっても、
  • 賢明な者にとっては、それだけで目的(悟り・正しい生き方)を達成する力となる。
  • しかし愚かなる者には、
  • 仏陀が一生涯をかけて説いたすべての教えを聞いたとしても、
  • その本質に到達することはできない。

■用語解説

  • 意義ある一つの句(エーカ・ガーター):真理を含む一文、心を動かす真の言葉。たとえば「諸行無常」「汝自身を知れ」のような。
  • 目的(アタ・サーダナ):解脱・自己変革・人格完成・悟りなど、精神的な究極の目標。
  • 愚者(バール):教えを聞いても実践せず、深く考えることのない者。
  • 仏のすべての教え:真理を尽くして説いた仏陀の膨大な教え。形式としては「すべてを知っても意味がない」という逆説。

■全体の現代語訳(まとめ)

たった一つの真理の言葉でも、それを心で受け止め、実践できる賢者にとっては、人生を変える力となる。
一方で、どれだけ膨大な教えを聞いても、それを活かそうとしない者には、どれ一つとして真の変化をもたらさない。
つまり、“どれだけ知っているか”ではなく、“どれだけ深く受け取っているか”がすべてを決めるのだ。


■解釈と現代的意義

この章句は、仏教に限らずすべての学びや知識における「本質主義」を説いています。
本当に大切なのは、情報量でも知識の数でもなく、それをどう受け止めて、どう生きるか。
私たちは時に「もっと多く学ばなければ」と思いがちですが、真理とは「少なくても深い」ものです。むしろ、一つの言葉を真に生きることができれば、それは千の知識に勝るのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
人材育成膨大なマニュアルより、心に響くひと言が行動を変える。深く実践できる一言の方が価値が高い。
リーダーの言葉長い演説よりも、核心を突いた短い一文がチームを導くことがある。
研修設計多くの知識を詰め込むより、「なぜそれが重要か」に気づかせる一言が鍵になる。
自己成長書籍や講演を大量に“消費”するより、一つの言葉に立ち返り、自問自答を続ける方が内面を深める。

■心得まとめ(感興のことば)

「多くを知るより、一語を生きよ」
真理は量ではなく、質で届く。
一つの言葉に魂が響けば、それは一生の指針となる。
だからこそ、言葉を聞くときには、ただ読むのではなく、心で受け取り、自らの生き方に照らし合わせてゆくことが大切である。


この章句は、「学びの本質は外ではなく内にある」ことを、最も簡潔に伝えてくれます。

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