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沈黙し、満ち足り、揺るがぬ心を持つ者は、美しい

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■引用原文(日本語訳)

「毀誉褒貶を等しく見て、沈黙し、いかなるものにも満足し、住処なく、心が確定し、信愛に満ちた人、彼は私にとって愛しい。」
(『バガヴァッド・ギーター』第12章 第19節)

■逐語訳

賞賛にも非難にも等しく接し(トゥリニンダー・ストゥティル・マウニ)、
沈黙を守り(マウニ)、
何であれ満足し(サントゥシュタ)、
住むところに執着せず(アニケータ)、
心が確定し(スティラ・ブッディ)、
私を信愛する者(マド・バクタ)――
そのような人は、私にとって愛しい(サ・メ・プラーヤハ)。

■用語解説

  • 毀誉褒貶を等しく見る(トゥリニンダー・ストゥティ):褒められてもけなされても心を乱さず、静かに受け止める。
  • 沈黙(マウニ):無駄なおしゃべりや論争を避け、内面に深さを保つ態度。行動や存在で語る人。
  • 満足(サントゥシュタ):欲を持たず、今あるものに感謝して満ち足りる心。
  • 住処なく(アニケータ):物理的な家や安定した環境に執着せず、心の自由を保つ。比喩的には「地位・肩書きへの執着の放棄」も含む。
  • 心が確定している(スティラ・ブッディ):信念や判断が揺らがない状態。精神的安定・覚悟。
  • 信愛に満ちた(マド・バクタ):神(クリシュナ)や真理に一途な心で仕え続ける者。深い信頼と愛の状態。

■全体の現代語訳(まとめ)

賞賛されても非難されても動じず、沈黙を守り、すべてに満足し、定住や所有にとらわれず、信念を確立し、神への深い愛に生きる者――そのような人こそ、神にとって真に愛しい存在である。

■解釈と現代的意義

この節では、「精神的に成熟した賢者」の姿が具体的に描かれています。
ギーターは、言葉より沈黙、欲望より知足、肩書きより自由、揺れより確信、理屈より愛に価値があると説いています。

そして、これらを備える人は、周囲を圧倒することなく、静かに信頼と尊敬を集める――それが真に“神に愛される人”の在り方なのです。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
称賛や批判への態度周囲の評価に振り回されず、誠実に自分の使命を果たし続ける人物は、安定した信頼を築く。
沈黙の力言葉を重ねず、行動と結果で語る人は、深みと威厳を持つ。
無執着のリーダー地位や肩書きにとらわれず、場所を選ばずどこでも価値を生み出せる人は、組織の核となる。
知足と精神の定常性環境や待遇に依存せず、今あるもので十分に力を発揮できる人は、最も持続的な成果を上げる。

■心得まとめ

「語らずとも信頼され、持たずとも満ち足り、揺れずに愛に生きる者が、最も尊い」
沈黙の中に真実があり、満足の中に自由があり、揺るがぬ心の中に本当の力がある。
『ギーター』が愛する人物像とは――外側ではなく、内なる静けさと愛に根ざした人間である。
評価を求めず、言い訳もせず、ただ一つの信念を持って生きるその姿は、現代でも最も強く、最も美しいリーダー像といえる。

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