MENU

正しく用いる者は、真理へと至る


目次

■引用原文(日本語訳)

矢でも正しく捉えると、手のひらを切ることがないように、修行者の行も正しくおこなうと、ニルヴァーナの近くにある。
―『ダンマパダ』第11章 第5偈


■逐語訳

  • 矢でも正しく捉えると(susammaṭṭhaṁ upādāya):鋭い矢であっても、正しい方法で扱えば、
  • 手のひらを切ることがない(na chindati hatthapāde):それで手足を傷つけることはない。
  • 修行者の行も正しくおこなうと(samaṇassa dhammam sammā upagamma):修行者の道(教え)を、正しく理解し、適切に実践すれば、
  • ニルヴァーナの近くにある(nibbāṇassa santike):涅槃(真理・解脱)のすぐそばに達することができる。

■用語解説

  • :前偈と同様、「強力な手段」の象徴。危険もあれば、役立つ道具にもなる。
  • 修行者の行(samaṇassa dhamma):仏の教え・修行・実践方法のこと。
  • 正しく行う(sammā upagamma):正見・正思惟・正念など「八正道」に沿って、適切な理解と姿勢で実践すること。
  • ニルヴァーナ(nibbāṇa):煩悩が消えた状態。完全な静寂と解放を意味する。

■全体の現代語訳(まとめ)

どんなに鋭利な道具(矢)でも、正しく扱えば自分を傷つけることはない。同じように、仏の教えや修行の道も、正しく理解し、実践するならば、それは涅槃という究極の安らぎへと導いてくれる。仏陀は正しい姿勢と用い方の重要性を示している。


■解釈と現代的意義

この偈は前の第4偈と対をなしており、「誤用は破滅を招くが、正用は解脱に至る」というメッセージを補完的に伝えています。現代では、制度・技術・言葉・思想といった“力あるもの”をどう扱うかが問われる場面が多いですが、この偈は「用い方がすべてである」という仏教の叡智を簡潔に示しています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点現代ビジネスでの適用例
スキル・制度の使い方効果的なツールや制度も、正しい理解と運用がなければ役立たず。正しく使えば、最大限の成果が得られる。
コンプライアンス法令やルールを“守るべきもの”として誠実に扱うならば、それは会社を守り、成長させる道となる。
リーダーシップ権限を適切に用い、部下を導くリーダーは、信頼と成果を得て、組織全体の成長に寄与する。
組織運営経営理念やミッションを正しく理解し、日常業務に落とし込んでこそ、組織文化として機能する。

■心得まとめ

「道具は、正しく使う者にこそ応える」

仏の教えも、知識も、制度も、それを用いる者の姿勢と理解によって、その価値は大きく変わる。
正しく実践する者には、そこに真理への道が拓かれる。
――それがこの偈の核心であり、現代の私たちにとっても、「ただ持つこと」と「正しく使うこと」の差を深く考えさせられる教えです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次