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欲を断つ者に、憂いはとどまらない


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📖 引用原文(日本語訳)

この世において如何ともし難いこのうずく愛欲を断ったならば、憂いはその人から消え失せる。
水の滴が華から落ちるように。
— 『ダンマパダ』 第二四章「愛執」 第三三六偈


🧩 逐語訳

この世において非常に克服しがたい、疼くような欲望(愛欲)を断ち切った者は、
もはや心の憂いから自由になる。
それは、蓮の花の上から水滴が滑り落ちていくように、自然で穏やかな離脱である。


📝 用語解説

  • 如何ともし難い(いかんともしがたい):極めて制御が難しい、強烈な衝動を意味する。
  • うずく愛欲:本能的かつ執拗な欲求(性欲・物欲・承認欲など)を含む、内側から湧き上がる執着。
  • 憂いが消える:不安・苦しみ・後悔・嫉妬といった心の煩悩が自然と解けていく状態。
  • 水の滴が華から落ちるように:あらゆる苦しみが抵抗なく離れていく比喩で、蓮華上の露のイメージが用いられる。

🌐 全体の現代語訳(まとめ)

この世でもっとも克服しがたいもの――それが「愛欲」や「執着」である。
しかし、それを断ち切ることができれば、心にあったあらゆる憂いも、自然と消え去っていく。
その様子は、朝露が花びらから滑り落ちていくように、力まず、穏やかに、そして完全である。


💡 解釈と現代的意義

この偈は、「憂い」を無理やり消そうとしても消えないことを教えています。
心の苦しみを根本から断つには、それを生み出す「愛欲=執着の根」を断つこと。
現代では欲望に振り回されることがストレスや不安の根となっていることが多く、
この教えは、外的状況を変えるよりも、心の内側の執着を見つめ、それを手放すことの大切さを説いています。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
内面の自由「もっと成果を出さねば」「評価されねば」といった執着を手放すことで、心が軽くなり集中力や創造性が高まる。
不安の根本治療ストレスの原因は「足りない」ことではなく、「欲する」ことにある。執着を断つと、自然と不安は薄らぐ。
自然体のリーダーシップ欲にまみれた指導は重苦しいが、執着のない姿勢は部下にも安心感と信頼をもたらす。

🧭 心得まとめ

「憂いを減らすには、執着を断つしかない」

真の自由とは、得ることではなく、離れることから生まれる。
それは、雨を避けるのではなく、濡れても煩わされないような心を持つことに近い。
ビジネスの世界でも、「結果を出そう」と焦るより、「執着なく行動する」姿勢が、
最終的にはもっとも大きな結果を引き寄せる力となる。

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