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すべてに神を見る者は、己を損なわない


■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
「というのは、主があらゆるものに等しく存在すると見る人は、
自ら自己を害することがないから。かくて、彼は最高の帰趨(解脱)に達する。」
(『バガヴァッド・ギーター』第13章 第28節)


■逐語訳

すべての存在の中に、主(神/真我)が等しく宿っていると理解する人は、
自分自身に対して損なうような行い(怒り・憎しみ・差別・執着)をしない。
したがって、その人は最終的に、最高の境地(帰趨=ムクティ、解脱)に達するのである。


■用語解説

用語意味
主(イーシュヴァラ/パラマートマン)あらゆるものに遍在する至高の存在。意識、真我。
等しく存在差別なくすべての命や存在の中に神性が宿っている状態。
自己を害することがない(ナ・ヒンストィ・アートマンム・アートマー)他者を害せば、結局は自分自身の心・魂を傷つける。神を内在視する人はそれを避ける。
帰趨(きすう)行き着く先、究極の到達点。ここでは「解脱(モークシャ)」を指す。

■全体の現代語訳(まとめ)

あらゆる存在の中に神が平等に宿っていると理解する人は、
他人を粗末に扱ったり、自分を卑しめたりすることがない。
その人は、内にも外にも神を見出すがゆえに、調和と尊重に生き、
やがて輪廻を超え、真の自由(解脱)に至るのである。


■解釈と現代的意義

この節は、「他者と自分を分け隔てる見方」が自他を傷つけ、
「すべての存在に神を観る見方」が心の自由をもたらすと説いています。
人間関係においても、仕事においても、
他者を利用・攻撃・蔑視すれば、それはやがて自分に跳ね返る。
逆に、尊重と平等の意識で関わる者は、自分自身をも高めていくのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

視点解釈と応用例
人間尊重のマインド顧客・部下・取引先すべてに神性を見出す視点を持てば、誠実で調和的な関係が築かれる。
自傷的な判断の回避欲望や怒りからくる短期的な決定は、結局自分自身(信用・精神)を傷つけることになる。
組織の成熟度多様な人材の中に平等な価値を見出せる組織は、内部破壊や摩擦が減り、持続的に成長できる。
持続可能な成功競争ではなく共生・共栄を基盤としたビジネスは、長期的な信頼と繁栄をもたらす。

■心得まとめ

「神をすべてに観る人は、自分を損なわず、世界を傷つけない」

『バガヴァッド・ギーター』は、
真に見る者とは「他者の中にも、自己の中にも、同じ神が宿っている」と理解している人であると説いています。
この視点を持つ者は、軽率な言葉や行動によって自分をも他人をも傷つけることはなく、
やがて最高の自由=解脱へと到達していく。
現代社会においても、「尊重」が人と組織と自分を育てる真の力であることに、変わりはありません。

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